ニコライ・ホジャイノフと茶畑

8月ですね。
この暑い季節に再び、ニコライ・ホジャイノフがやってきます。
今年2度目の来日。(しかも、今年はさらにあと2回来ます)

今回、ひとつ目の公演は読響サマーフェスティバル。
気鋭のソリストが登場して、
ヴァイオリン、チェロ、ピアノの有名協奏曲が演奏されるというもの。

2014年8月20日(水) 18:30 サントリーホール
指揮=円光寺雅彦
ヴァイオリン=弓 新
チェロ=辻本玲
ピアノ=ニコライ・ホジャイノフ

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23


(それにしても、この真ん中にニコライさんどーんのチラシ、何度見ても面白い…)

ホジャイノフが、あの、ペタッと丸い指先でわしわしと掴んで奏でるチャイコフスキー。
チラシのとおり、クールにキメてくれるでしょうか。
厳しさと甘い美しさが入り乱れた演奏になるのかな~。
それにしても、ピアノ協奏曲の代表作というと、
チャイコフスキーの1番になるんですね。ふむふむ。

一方のリサイタルは、昨年夏と同様、浜離宮朝日ホール。
ホジャイノフの、とにかくこだわって、しつこくこだわりぬいて鳴らすピアニシモ、
そして、密度の濃い重い音が、くっきり存分に堪能できる会場です。

2014年8月25日(月) 19時 浜離宮朝日ホール
シューマン:アラベスク ハ長調 Op.18
シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
(ピアノのための18の性格的小品)
リスト: 村の居酒屋での踊り(メフィスト・ワルツ第1番)
ショパン:子守歌 変ニ長調 Op.57
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58

こちらのプログラムについては、
ぶらあぼジャパン・アーツサイトにインタビュー原稿を寄稿しました。
今回、まずはやっぱりシューマンが楽しみですね。
ご本人はインタビューの中で「幻想と現実の境目」なんていう表現をしていますが、
そういうあやうい世界を描かせたら、この方は天下一品なのではないかと思います。
ほら、もともとちょっと不思議な精神世界を生きている感のある人なもんでね…。
ショパンのソナタ3番についても、インタビューにある作品についての解釈を読むと、
どんな演奏になるのかとても気になります。
男らしくカッチリしたラインでせめてくるのでしょうか。
そう言いながら、シラッとものすごくファンタジーな路線でくる可能性も。
予測のつかない男ニコライさんですから、実際聴いてみるまでわかりません。

ところで、すでにご覧の方もいらっしゃると思いますが、
こちらのニコライさんの日本語によるロングメッセージ動画、
驚いた方も多いのではないでしょうか。
以前からちょこちょこ謎の日本語を口走ってドッキリさせてくることがありましたが、
ついにこれだけのロングな台詞を諳んじるレベルにまで達したようです。
日本の文学もせっせと読んでいる模様で、
(例によって古いやつを。さすがに原語では読んでいないようですが)
そのうち「伊勢物語」とかぺろぺろ暗記で語り出すかもしれません…。

もうひとつ、ニコライさんが最近どうやら凝っているらしいものは、お茶です。
日本茶についてものすごい難しい質問をされて、本当に困ります。
中国茶にはもともと詳しいようで、以前の来日時、
練習の後に中国茶の店に行きたいと騒ぎ出し、近くのお店に行ってみると、
漢字の羅列されたいろいろなお茶の名前をひとしきり眺め、これ、と選ぶ。
店員さんが「こちらをお選びになるだなんて…ツウですね…」と驚く顔を見て、ニンマリ。
興味関心の広がる方向が、想像を超えています。
この前は、日本で茶畑に行ってみたいんだけど見学できる場所はないか聞かれました。
見学して一体何をするつもりなのかはよくわかりませんが、そのくらい、好きみたいです。

さて。
今のところ、秋の公演は東京以外の場所ばかりのようなので、
首都圏にお住まいでニコライさんの演奏が気になる方は、お早めにどうぞ!
どちらの公演も残席が少なくなっているようです。
それと、どなたか茶畑オーナーの方がいらしたら、ご一報ください…。

高校生のためのオペラ鑑賞教室「蝶々夫人」

毎年恒例の高校生のためのオペラ鑑賞教室。
今年の演目は「蝶々夫人」で、いよいよ7月9日からスタートします。
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一部の日程は数量限定で一般むけの当日券も発売されます。
朝10時から窓口と電話予約で販売とのこと。
(窓口だけじゃないんですね!これはいいですねえ)
おとなでも4,320円と本当にお得な料金です。出演者もなんと豪華な…。

今回、当日のプログラム冊子用に、
指揮の三澤さんと蝶々さん役の横山さんにインタビューをさせてもらいました。
高校生むけですよ、と言われながらけっこうつっこんだお話を伺いまして、
かなりおもしろかったです。高校生ってけっこう大人だもんね。
もちろん、まとめるときはいろいろ気を付けましたが。
オペラにおける演出の大切さ、海外における蝶々夫人公演のドイヒーなエピソードなど。
書ききれないこともあってもったいなかったです。

今回原稿を書くにあたって、
蝶々夫人に出てくる日本の旋律についてちょっとリサーチしたりしました。
改めて見ていくとおもしろいですね。
作品を観ているなかで普通に気が付くものももちろんありますけど、
もともとのオリジナルの日本の歌を知らなかったものなどもいくつかあり、
ああ、ここもそうだったのね!という発見があって、とても興味深く。
そこから、なんとなくメロディは知っていた曲がどういう歌詞なのかも調べてゆくと、
またおもしろく。

そんななか、先日G-Callサロンに春風亭一之輔氏の落語を聴きにいったときのこと。
この日は単に落語を聴くだけでなく、
いろいろな落語家さんたちの出囃子についてのお話もあるという興味深いもの。
そこで新発見です。
笑点でおなじみの林家木久扇氏。
そう、あの、いやん、ばかーん、木久蔵ラーメンの黄色い方。
あの方の出囃子が、「宮さん宮さん」だというんですね。
蝶々夫人でも出てくるあの旋律です。
そんなわけで、なんだか一気に木久扇氏への親近感が増しました。
まあ、蝶々夫人を意識しての選曲では絶対にないと思うけど…。

そんなわけで、高校生のためのオペラ教室、
当日券の発売情報は、新国立劇場公式ツイッターオペラアカウントやHPで
その都度発表されるようですのでぜひチェックしてみてください。
休憩中、いつもとは年齢層がぐーんと違うロビーの雰囲気や、
上演中、お色気シーンで恥ずかしそうにつっつきあう高校生の様子など、
いろいろ新鮮でそれもまたおもしろいですよ。

金子三勇士さんインタビュー

直前になってしまいましたが、6月23日(月)にはいよいよ、今話題の金子三勇士さんが、ゾルタン・コチシュ指揮、ハンガリー国立フィルとリストのピアノ協奏曲第1番で共演します。
ジャパン・アーツHPに掲載のインタビューはこちら
どんだけ頑固なんだ!な2歳児のエピソードもあり。
ハンガリーで有名な日本のものは、「トヨタ、スズキ、コバヤシ」というビックリ話もあり。

私にとって金子さんていうのは、なんだかプラスの気を感じる人なんですよね。マイナスの気配がしない。それでもかつては自分のアイデンティティのありかについて悩んだ時期もあったそうです。
そんな話題を始め、音楽的に真面目な話はインタビューをご覧いただくとして、その中に書ききれなかったおもしろプチエピソード。「金子さんが最近興味をもっていること」について。

「最近、自分の演奏時の精神状態に興味があるんです。
自分が無の世界になるというか、魂、身体の芯がちゃんと収まることによって、
ようやく音楽に何かが伝わっていくんじゃないかと思うんです。
これからはそういう状態が体験できそうな作品に挑戦してみたいですね。
バッハのゴルドベルク変奏曲とか、そろそろ取り組んでみたいです」

一体何があったんだろう。ヨガ的な発言…と思ったら、まさかのお話が続きます。

「あー、実はヨガ、試しに行ってみたんですけど、だめだったんですよね。
ヨガをやっているときの自分が本番のステージにいるときの自分とすごく重なって、
なんだかむしろストレスになってしまうというか。
頭の中で音楽は流れ始めちゃうし、一体どうしたらいいんでしょうみたいな感じでした」

音楽とヨガ、両方の精神的な作業があまりにも重なりすぎてまったく気が休まらないという、わかるようでわからないような主張。音楽家のメンタリティというのはミステリアスですな。

というわけで、公演はいよいよです。19時サントリーホールです!

6月23日(月) 19時開演 サントリーホール
ゾルタン・コチシュ(指揮)
金子三勇士(ピアノ)
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

リスト/コチシュ:ゲーテ記念祭の祝祭行進曲
リスト:ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:金子三勇士)
ブラームス:交響曲第1番

 

正真正銘ノンフィクション連載「ピアノ教室に通ってみた」のこと

現在、第12回まで公開している連載「ピアノ教室に通ってみた」
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代々木公園近く、ハクジュホールがあるビル内に昨年オープンしたコロムビア音楽教室のご協力のもと、とある編集者が、約四半世紀のブランクを経てピアノを再び習う様子を、実体験をもとにつづっている連載です。正真正銘、ノンフィクションです(多少ご本人の妄想入ってることはあるけど)。

初回のレッスンで楽譜に書いてある「ラド」の音符も正しく読めなかったこの人が(連載第3回参照)、担当講師、高橋ドレミ先生のあの手この手を使った指導のもと、なんとモーツァルトの「トルコ行進曲」を通して弾くまでになりました。週1回、45分のレッスンを続け、2ヵ月半くらいでしょうか。そのうえ、ついに暗譜での演奏も!

それにしてもちょうど最新の第12回の原稿を読んで、自分自身の辛い思い出がよみがえりましたよ。
プロの方々でも、一度の“ブラックアウト”の経験がフラッシュバックするというおそろしい現象があると聞きます。ミスをしてしまったときの状況や心境って、妙にはっきり記憶されるもんですよね。
ちょうどイスラエルでとあるコンテスタントとそんな話をしたところでした。自分が演奏する日の前夜、何の気なしにネット配信で別のコンテスタントの演奏を聴いてみたら、ちょうどその人が一瞬暗譜が飛んじゃっている場面を観てしまい、自分にもこれまででたった1度だけ起きたその場面が記憶によみがえってしまって、頭を抱えて必死で振り払った…という。

こういうプロの方々の経験とはだいぶ別の形とはいえ、子供の頃、とくに才能があるとかでもなく何となくピアノをやっていた人の多くに、人前で弾いたときの苦い記憶ってあるのではないでしょうか。クラスメイトなどのささいな言動に振り回され…というのもよくあるパターンです。
私も「幼稚園から高校生まで」とそれなりに長い期間ピアノをやっていた中で、合唱祭や卒業式でピアノ担当に駆り出され、苦痛な記憶がたくさんあるほうでございます…。

一番こわかったのは小学校の夏休みの林間学校で、“林間学校の歌”を最終日にみんなで歌ったときのことですねー。
夏休みが始まる前、各クラスからピアノを弾ける子がピックアップされ、「みんなそれぞれ練習して、出発前の登校日の時点で一番弾けていた子に伴奏してもらいます」という通達がありました。他のクラスのお嬢様系女子Aちゃんが「これ、Aちゃんが絶対弾くもんね~! Aちゃんがんばって練習するからね!」と言いまくっていたので、闘争心ゼロの子供だった私は「あー、よかった」と思って、適当に気が向いた時に練習する感じで夏休みを過ごしていました。
登校日当日。みなさんもう想像がついているでしょう。音楽の先生に集められると、Aちゃんは「Aちゃんできなかった、えへへー!」と言い、他の子たちも全滅。通して一応弾けるというレベルの私がその役を押し付けられることになったのでした。未だに、なぜあそこでやりたくないと強く主張しなかったのか、自分でもわかりません。
今も昔も緊張しいの自分、そんなレベルの仕上がりで緊張の中演奏して、うまくいくはずがありません。後半でよくわからなくなって、モーレツに焦り、適当に弾きとおしました。ばれなかったはずはないけど、止まらなかったしなんとかごまかせたかなと思っていたら、その後ふだん暴れん坊の男子に、「まあ、元気出せよ」と言われ、ああ、やっぱりね…暴れん坊に励まされるほどひどかったのね…と思いました。
くやしかったです。くやし涙が出そうなほどでしたが、それをバネに一生懸命練習するようになることは、まったくありませんでしたね。

まあ、これに限らず、いくつかの苦痛の記憶があります。この、人前で弾くことの緊張がイヤで、何一つ喜びを感じられなかったことも、高校生の途中であっさりピアノをやめた理由のひとつでしょう。

さて、話を戻しましょう。とある編集者の連載「ピアノ教室に通ってみた」。
読んでいると自分もまた弾いてみたくなって、部屋に一応置いてあるキーボードを触ってみたりして。昔暗譜した曲は指が覚えていてなんとなく弾けたりするものの、指がなまりまくっているし、音もだいぶ忘れています。それでワタワタしているうちに指が疲れてしまい、改めて楽譜をひっぱりだしてきて弾き直すところまではいかないまま終わるという。
でも、ほんの20分くらいでも指を動かすとあたまがすっきりするんですよね。

実は先日、ドレミ先生によるとある編集者氏のレッスンの様子を見に行ってきました。
その人にあわせた個性的なレッスンの成果か、なんと、楽譜を外してほとんど弾けるようになっていました。そのうえ、暗譜をしたうえで演奏にニュアンスをつけていくレッスンに入っていました。
弾きにくそうにしているパートがあればすかさずドレミ先生が発見して、音をつかみやすい、はずしにくくなる、そしてフレーズの流れをつけやすくなる指のポジションなどもアドバイスしていきます。自分が子供のころ、こんなふうに合理的なアドバイスをしてもらっていたかなぁ?
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ひとつひとつアドバイスされるたびに、「はぁ~、なるほど。本当だぁ」という言葉を漏らす、とある編集者氏。(そのわりには指番号を書き込んだりしないのが気になる。覚えられるのかな)。
音楽教室、そう、そこは会社でどんなにえらそうにしているおじさんも、若い娘に従順になってしまう場所。(別にこのとある編集者氏が会社でえらそうにしているという意味ではありませんが)

レッスンを見学して帰った夜、つい、自分がまだ「トルコ行進曲」が弾けるかどうか、キーボードに向かってしまいました。指がぜんぜんまわらなくなってる…と愕然。
しかしこの日を境になんとなく思いついたときに15分くらいでもぽちっとキーボードのスイッチをいれるようになり、だいぶ思い出してきて指も動くようになってきました。

やっぱり子供時代の長らくの訓練は捨てたもんじゃないです。久しぶりにちゃんとしたピアノで弾いてみたいなという気持ちにもなりました。やっぱり、簡易型キーボードのタッチはもんやりしていて辛い。自分の耳で、響く生音を聴きながら弾いてみたいよねー。昨日ちょうどチッコリーニの演奏を聴いたばかりなので、妄想は広がります。あんな音、絶対出せないけど…。
これは、私もピアノを再び始めるときが迫っているということでしょうか。他の楽器をやってみたいような気もするんだけどね。

とある編集者の連載のほうも、あと少し続きます。今後どんな進歩を遂げてゆくのか、ご注目ください。
ちなみに、公式サイトにはドレミ先生のお子さんむけのレッスンの様子なんかもアップされてますよ。
http://www.columbiamusicschool.jp/archives/296.html

ピアノ以外にも、ヴァイオリン、そしてキャンペーン中だというフルートやチェロのコースもあるようです。先生たちがやたらめったらさわやかですので、ぜひHPをのぞいてみてください。コロムビア音楽教室、無料体験レッスンは常時受付中ですってよ!

◇コロムビア音楽教室
http://www.columbiamusicschool.jp/

 

番外編 エルサレムへ

ずいぶん時間が経ってしまいましたが、
せっかくなので、エルサレムぶらり旅の様子を、ゆるやかにお伝えしたいと思います。

すべてをにわか知識に基づいて綴っていきますゆえ、間違って解釈していることや、宗教的に失礼な表現があったらごめんなさい…。

さて。
テルアビブ市内からエルサレムに行くには、電車とバス、二つの方法があります。
電車のほうが本数も少なく時間もかかるようなので、シェルートと呼ばれる長距離バスで行くことにしました。
バスは日中なら20分おきくらいに出ていて、所要時間は1時間弱くらいでしょうか。
今回、日本人の関係者の方から借りた某有名ガイドブックをたよりにエルサレムに行こうとしたのですが、なんともはや、これがまた、かゆいところに手の届かない内容(借りておいて言うのもなんですけど)。
ガイドブックには、このシェルートがテルアビブのどこから出ているのか、イマイチはっきり書かれていない。まあ、セントラル・バス・ステーションに行っておけば確実なのかなと思って行ってみたら、やはりそこからエルサレム行きの高速バスが出ていました。
ただし、どうやらエルサレム行きのバスが出ている場所はこのほかにもある模様。というのも、帰りにエルサレムから乗ったバスは、テルアビブ市内の鉄道駅前の別のバス・ステーションに到着したので。

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テルアビブのセントラル・バス・ステーションの建物は、5階建てです。
建物に入るときは例によってセキュリティチェックがあり、エルサレムに行きたいと言うと、乗り場は5階だよと言われます。バスなのに5階から出るのか…と思いましたが、実際そこからバスは出ていました。
チケットは事前に窓口で買うこともできるようですが、そのまま乗り場の列に並んで、運転手さんにお金を払うのでも大丈夫です。バスの中ではwifiもつながります。

乗ること1時間、エルサレムのセントラル・バス・ステーションに到着。しかしここで再び某ガイドブックがかゆいところをかいてくれません。
観光の中心であるエルサレムの旧市街は、このバス停からまあまあ離れたところにあって、タクシーまたはトラムで移動する必要があります。
が、このトラムの乗り場がどこにあるのか、どっち方面に乗ればいいのかなど何も書いていないんですね。まあ、そこらへんにいる人に聞けばすむことなんですが、だったらガイドブックいらないだろ、みたいな。

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人の流れにのって探り探り外に出ると、道を挟んだ向こうのほうに、なんとなくトラムの駅らしいものを発見。人に聞いてホームを確認し、切符を購入。やっと目的地に着くことができました。
いろいろ不安な人は、時間さえ合えばツアーで来た方がいいのかもしれませんね。

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旧市街に一番近いトラムの駅は、北部に位置するダマスカス門の近くにあるので、そこから中に入っていきます。
城壁に囲まれたエリア内は、ムスリム地区、アルメニア人地区、キリスト教徒地区、ユダヤ人地区に分かれていて、歩いていると雰囲気が変わってゆくのがおもしろかったです。

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特に最初に通過したムスリム地区は、お土産物屋やスパイス屋、道に座って野菜を売るおばさんなどがたくさんいて、聖地というより市場に迷い込んだかのような印象。礼拝の時間を告げるアザーンが響き、なんとなくインドにいたときのことを思い出して懐かしい気持ちになります。

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細い路地が入り乱れているので、とにかく迷わないように必死です。というのも、やはり聖地、ふと気づいたら入るべきではない場所に入っていたらと思うと怖くてね。多分、初期のインド旅行のとき、イスラム教のモスクの入口で突然怒鳴られた何度かの経験が、トラウマ的なものになっているのでしょう。エルサレムでも、すべての宗教に対してよそ者であるという自覚が、なんとなく緊張感となってじわじわと自分を疲れさせます。

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とにかく迷わないように必死なため、イエスが十字架を背負って歩いた「ヴィア・ドロローサ」も、その足跡をたどるどころか、ガッツリ逆流して歩いていました。すると、遠くのほうでこちらを見ている人の気配が……。

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なんたる偶然、マルチン・コジャック君!
この日の夜の便で発つ予定ということで、それまでの時間でエルサレムを訪れることにしたそうです。世界にはいろいろなキリスト教徒さんがいらっしゃる中で、ポーランドの人たちってかなり敬虔ですよね(もちろん個人差はあると思いますが)。初めてポーランドに行って彼らと触れ合う機会があったときに、びっくりした記憶があります。
きっとコジャック君にとってもここを訪れるのは特別なことだったでしょう。テルアビブで会ったときはちょっと心配になるくらい常にハイテンションでしたが、この日はさすがにおとなしめでした。ま、疲れていただけかもしれませんが。

続いてたどり着いたエリアにあるムスリムの聖地「岩のドーム」には、異教徒は立ち入ることができません。モスクと岩のドームにつながる小道、誰も止める人がいないのでずんずん進んでいくと、最後のゲートのところに立つ銃を持った兵士に、ちょい遠めから無言で首を横に振られました。こういうの、怒鳴られるより怖かったりします。

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そのすぐそばには、ユダヤの聖地「嘆きの壁」。イスラム教の岩のドームがあるのはかつてエルサレム神殿のあった場所ですが、この壊された神殿の残った壁が、ユダヤの人々にとっての聖地「嘆きの壁」となっているとのこと。そのため、壁の向こうには、黄金に輝く岩のドームの頭が見えます。
ここは男性エリアと女性エリアでわかれている…と事前に読んではいたのですが、どこからわかれているのかよくわからずズンズン進んでいくと、横から「ヘイヘイヘイヘイ!!」と大声で呼び止められます。見事に男性エリアに突進していたようです。無知ってこわい。
ちなみに今後行く方のためにお伝えしておくと、向かって左側が男性エリア、右側が女性エリアですのでお間違いなく。
多くの人が熱心に祈りを捧げていました。壁から立ち去るときは、壁に背を向けず後ろ歩きで進むのがしきたりのようです。そんな中、背を向けて普通に歩き去っていくのは失礼かなとふと思うわけですが、わけもわからず真似するのもまた失礼と思われるので、普通に歩いて立ち去りました。当たり前か。

ところで話は変わりますが、ユダヤの男性が頭にかぶるキッパと呼ばれる小さくて丸い帽子。髪の毛とピンで留めている人が多いですが、これ、少しでも髪のある人はいいけど、まったくない人はどうやって固定しているのだろうという疑問がわきまして。そこでコンクール期間中、失礼を承知で事務局のヒーラさんに尋ねてみたところ、
「わかんない、接着剤でもつけてるんじゃない? あはははは!」
という、かなりテキトーな回答をいただきました。
というわけで、謎は解けず。
…嘆きの壁で後ろ歩きを真似しようかと迷った人間とは思えないほど、なかなか失礼な質問ですよね。すみません。でもね、ただ頭にのっけているだけではすぐにどっかいっちゃうんじゃないかと、どうしても気になってしまって。

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旧市街中央部には、キリスト教の聖地、聖墳墓教会があります。イエスが最後に辿りつき、磔にされた場所。つまり、ヴィア・ドロローサの終着点。
入ってすぐのエリアには、十字架から降ろされたイエスの亡骸に香油が塗られた場所とされる、大理石の板があります。みなさん、ここを丁寧に撫でたり、ご持参のマイ十字架をごしごしこすりつけたりしていました。

教会の中には、磔にされた十字架が建てられたとされる場所、イエスの墓がある復活聖堂など、キリスト教にとって大切なスポットがたくさんあります。
ここは複数の教派が共同で管理しているとのこと。異なるローブを身に付けた聖職者の方々が、かわるがわる、淡々と儀礼を執り行っていました。が、この方々がまたなかなかの仏頂面(…とキリスト教の人をつかまえて言うのもどうかと思いますが)で、観光客たちを、ほらどいて、あっちいって、もたもたしない!みたいなすごい勢いでさばいていました。小心者の私は、自分が怒られたわけでもないのにここでまたビクつくという。
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あまりの人の多さに、ツアーコンダクターさんたちはのぼりがわりに思い思いのものを使っていました。ピコピコハンマーを使っている人は初めて見ましたが、目立っていいアイデアですね。勝手な行動をしたらピコっと叩かれそうでちょっとこわいけど。

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他にもいろいろ興味深い場所がありましたが、なぜか一番心安らいだのは、聖母マリアが生まれたとされる聖アンナ教会の敷地内にある、ベテスダの池の跡地。ここでイエスが長く病に苦しんだ人々を癒したとされています。
この場所を眺めながらぼーっと座っていると、また遠くからアザーンが響き渡り、なんだか不思議に落ち着くのでした。

オリーブ山のほうまで足を伸ばすことも考えたのですが、なんだかものすごく疲れてしまって、まだ早めの時間でしたがテルアビブに戻ることにしました。なんとなく刺激が強すぎて、またいろいろな緊張感がありすぎて、精神的に疲れたのかもしれません。決して悪い意味ではなく。

あと、たくさん歩いたというのはもちろん、実を言うとエリアによって、お店の前でたむろす人々から、
「コンニチハー」「ニホン?」「ニーハオ!!」
「I’m teaching アイキドー! My name is 佐藤!!」(←絶対違うだろ……)
と、まさに観光地らしい感じで声をかけられ、ひとつひとつ対応しながら歩いていたら異様に疲れたというのもあります。
勝手に道案内をして、「お金ちょうだい、ぼくと友達に1シュケルずつ」と言ってくる少年もいました。横にいるだけで何もしていない友人まで気づかうだなんて、さすが聖地育ち……なんて言ってる場合じゃないですね。ちょっと悲しい気持ちになって、少年に向き合い、語りかけてしまいました。言葉が通じないので日本語で。意味はわかっていないだろうけど。

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キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、それぞれの人が当然の身のこなしでそれぞれのとるべき行いをしているのを、ただひらすら不思議な感覚で眺める時間。やはりよそ者の自覚がずっとどこかにありました。(ちなみに自分は、お寺にお墓があり、必要に応じて神社での行事的なものをやる、日本でよくあるゆるやかな宗教意識の家庭に育っております)

単一民族、そしていろいろな宗教の人がいるとはいっても、神道と仏教が多くの地に根付いている日本で生まれ育ったことで、こういう状況に対する免疫力が低いのかも…。インドの寺院めぐりではさほど疲れなかったのは、やはりあそこが仏教とつながりのあるヒンドゥー教の国だったからなのか。宗教の性質も影響しているとは思いますが。

単純な遊び疲れ、旅疲れから、自分だけがよそ者と感じながらどこかに暮らすことの心境に想いを巡らせ、また多宗教の人々が共存するということの難しさについてまで考え込む、そんな日帰り旅行となったのでした。

うしだくん

先月末、なぜか偶然
牛田智大さんと牛牛さんのインタビュー原稿締切が同じ日に重なって、
モーモーさんなティーンエイジャーの原稿ばかり書いている時期がありました。

牛牛さんのインタビューは次号のぶらあぼに掲載されますが、
まず、牛田智大さんのインタビューがジャパン・アーツのHPで公開中です!

今回は、来る6月、ウィーン・カンマー・オーケストラと
ショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏することについて主にうかがいました。

2014年6月5日(木) 19時開演 東京オペラシティ コンサートホール

久しぶりにお会いした牛田さん。
さすがティーンエイジャー、ちょっと見ない間に成長してるなと思ってふと手を見ると、
デカっ!
インタビュー中の話題にも出てきますが、日々手が大きくなっているらしく、
そのせいで練習中、隣の鍵盤をひっかけることがあるというからすごい。
ジャパン・アーツのYoutubeにアップされていた
作品に寄せてのコメント動画を見たら声変わりされていたので驚きましたと言うと、
(まだ恋をしたことがないので、福島の祖父母によせて演奏します、という可愛らしい内容)
「今までと同じことを同じ気持ちで言っているのに、
なんかキモちわるく聞こえて、いやなんです!!」
とのこと。
そんなことないって、牛田くん!

興味深かったのは、これもインタビュー原稿の中に書いていますが、
「ショパンの作品はどこか、さっきまで深刻に悩んでいたのに、
最後で急に、“なんちゃって!”みたいに明るく解決に向かうところがおもしろい。
諦めのようにも聴こえるんですが、その傾向は晩年にいくほど強いと感じます」
というお話。

…つまり、ピアノ協奏曲第2番あたりの作品では、
牛田さん的には、
まだ比較的ショパンが悩み倒しているまま終わっているように聴こえるみたいなんですね。
なるほどなと思いました。
若いころの作品のほうがまだ明るい、という先入観があったので、ちょっと新発見です。

モスクワ音楽院ジュニアカレッジのお話も聞きました。
基本的に日本でモスクワ音楽院の先生方のレッスンを受けるというスタイルのようですが、
まれにモスクワにもレッスンを受けにいくことがあるということで。
モスクワどうでした?と尋ねると、
「そうですねー、なんだかかわいい国でした!」
との、予想外の返答!
鋭い目つきの警察や警備の人がウロウロしていて、
挙動不審な動きでもしたらすぐにひっとらえられそうなあの街をして、かわいいとは…。
さすが牛田さん。肝すわっとる。

「いえ、もっとゴツい感じの街を想像していたのですが、
街並みの色合いもやわらかいですし、なんだかかわいらしいと思って!」
ということらしい。
確かに、案外クリーム色とか薄ピンクとかの建物が多いもんね。
…その合間にスターリン的なグレーの建物がズドーンと建っているわけだけど。
まあ、あれも夜ライトアップされていれば綺麗だしね。

そんなわけで、肝のすわった牛田さんの海外オーケストラデビュー公演、
心身ともに成長した演奏が聴けそうで楽しみです。

LFJ、クラシックソムリエ協会ブース!

つい先日、
「クラシックソムリエ検定シルバークラス対策公式テキスト」
~世界で一番ためになるクラシック音楽中級の本~
という書籍が、ぴあから発売されました。
クラシックソムリエ検定のシルバークラスを受検するみなさんから、
どこを勉強したらいいのかわからないんだけど!!
…という半ば苦情に近いリクエストが多数届いたことから、一生懸命作りました!

エントリークラス向けの入門テキストでは36人の作曲家が主に扱われていますが、
ステップアップしたシルバークラスでは、
これに加えて50人がどどっと出題対象に追加されます。
そんなわけで、モンテヴェルディやベッリーニ、グリンカやヴィラ=ロボスなど、
とっても大切だけど多少マニアックね、と分類される作曲家のことも、
好評だったエントリークラス向けテキストのわかりやすさそのままにご紹介しています。

さらに今回自分でも気に入っているのが、
本の冒頭に入っている、政治や美術・文学から音楽を読み解くと言うテーマの項。
そういう観点で見ていくと、数珠つなぎでどんどん関心が広がって行って、
聴きたいと思う音楽もどんどん広がっていくもんね。
ここはぜひ、みなさんにじっくり読んでいただきたいです。
本当に、世の中には知らないおもしろいことがたくさんあるもんです。
というわけで、受検しない人にもとても役に立つ本だと思います!

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ちなみに目次のページはこんな感じ。
謎解きスタイルで、おもしろいですよ。(クリックして大きくしてご覧ください)
今年の検定は10月12日(日)です。東京、大阪、金沢、そして浜松で開催!

さて、そんなクラシックソムリエ検定の公式テキスト、
このGWに開催されるラ・フォル・ジュルネ、東京の会場でも販売されます。
ガラス棟地下2階展示ホールの片隅に出展するクラシックソムリエ協会ブースで買うと、
かわゆい作曲家バッヂがおまけでついてくるので、
どうせ買うなら、クラシックソムリエ協会の人々とおしゃべりがてら、
ぜひ遊びに来てください! みんなで店番してます。
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ちなみにブースでは、毎年LFJのテーマに合わせて
お洒落でひとひねりあるおいしいコーヒーを開発してくれる、
Browns Café & Beansのコーヒーも販売していますので、ぜひ!

そして、いくつかイベントにも出ます。
まずは5月4日、14:00頃から(→13:30になりました)ガラス棟地下1階のブースで、
ピアノにまつわるトークと、ピアニストの公開インタビュー的なことをやるっぽいです。
(まだ、よくわからない)

また、最終日、5月5日、16:30からは、
ガラス棟地下2階の展示ホール内、赤い六角形ステージにて、
毎年恒例、指揮者の曽我大介さんとクラシックソムリエ協会のコラボイベントをやります。
前夜祭でも大好評だった「みんなで歌おう第九」コンサート!
今回もクラシックソムリエクイズに答えて賞品があたるコーナー付きです。

わたくしがこのイベントでMC的なものをやるのも、今度で3回目…
だんだん肝が据わってきたみたいで、異常にドキドキしたりはしなくなってきましたが、
苦手なもんは苦手なので、早く無事に終わってほしいです。
というより、去年は曽我さんがオーケストラに、
嫌がらせとしか思えない超絶長いカタカナ名をつけたせいで苦労しましたが、
(途中で2、3回舌噛んで気絶しそうな勢いの名前でした。覚えてすらいない…)
今回の演奏は、アマデウス・ソサイエティ・オーケストラ。
心おだやかに本番が迎えられそうです。
遊びに来てくださいね!

福間洸太朗さんのインタビューにて

「ピアノの本」5月号(5月から配布スタート)で、
福間洸太朗さんのインタビュー記事を書いています。
(表紙のおコメ顏の人は誰だ?と思ったら、どうやらメンデルスゾーンらしい)
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福間さんにインタビューをするのは今回が2回目。
確か前回はドビュッシーのCDが出たばかりのころで、
「徹子の部屋」の放送がある直前。つまり、もう2年近く前か…。
オープニングで福間さんと連弾している徹子さん、めちゃくちゃ楽しそうだったなー。

で、今回のインタビューで主にお話をうかがったのは、
6月11日にヤマハホールで行われる、
泉ゆりのさんとのデュオリサイタルについてでした。

ふたりの共演はピティナのデュオ部門で金賞をとった高1のとき以来ということで、
当時デュオを組むことになったいきさつなども語ってもらいました。
ふたりは今ともに31歳、
シューベルトが世を去った年齢に達したということで、
シューベルトの晩年の作品や、
その他の作曲家が31歳のときに書いた作品を取り上げるというプログラム。
かなり趣向がこらされた内容です。

ところでこのインタビューで興味深かったのが、
本番前、イマイチしっくりこないピアノに出会ってしまった場合は、
自分がとても好きな作品をゆっくり弾いて、ピアノを馴染ませる、というお話。
「フランス語では“アプリポワゼ”といって、飼い慣らすというような意味なんですが…」
とおっしゃっていましたが、
そのときに弾く曲は、決まっているそうです(記事をご参照くださいませ)。

で、インタビュー終了後、
ピアノを弾いているカットもおさえたいということで弾いてもらうことになったとき、
福間さんたら、初対面のCFXでその曲をゆっくり弾きはじめるわけですよ…。
しかも、とても愛情をこめている感じで、実に美しく。

ああ、今まさにピアノがアプリポワゼされておる…。
そう思ったら、なんだかイケナイ場面をのぞき見していているような気がしてきて、
曲が終わるまでの時間、ひとりでやたらドギマギしてしまいました。
弾き終わって、「これがその曲です!」とさわやか~に声をかけてくれた福間さんに、
ちょいとあなた、今私にえらいもん見せたね!と心の中で叫んでおりました。
誌面には、そんなCFX飼い慣らし中の福間さんの写真ものっています。

冊子はヤマハや楽器店で無料配布されていますので、ぜひご覧くださいませ。
この号ではその他、島田彩乃さんのインタビュー、
児玉桃&小曽根真デュオリサイタルのレビューも書いています。
ホジャイノフ君のヤマハホール公演のレビューも載っていましたよ!

プレトニョフの季節

わたくし、プレトニョフ氏のこの動画がかなり好きなんですが。

https://www.youtube.com/watch?v=lH-26ObpAuE

演奏の動画じゃなくてすみません。昨年の、来日によせての動画ですね。

しかしこの、良い感じにひねくれたユーモアセンスが光輝いている、秀逸な日本語メッセージ!
こういうしゃべり方のオッサンが身近にいるせいなのか、
それとも本当は正確な話し方がわかっているのに
あえてこういう“日本語っぽい”イントネーションを模倣しているのか、
そのあたりはわかりませんが、
とにかくこの直球じゃないユーモアセンス、これを堂々とできる肝の座り方、
憧れます。

さて、プレトニョフ氏といえば、
自分の求めるものに応えてくれるピアノがないと言ったとか言わないとかで、
何年もの間、演奏活動は指揮者としてのみで、
ピアニストとしての活動からは遠ざかっていましたね。
それが 数年前モスクワで出会ったカワイのピアノをとても気に入り、
再びリサイタルツアーをすることを決めたのだとのこと。
なんていい仕事してくれたんだ、 河合楽器製作所!!

先に行われた6年ぶりのヨーロッパツアーは、
ご自身で静岡の竜洋工場にやってきて選定したSK-EXとともに行ったんだって。
緻密な音楽づくりで知られるプレトニョフをして、
このピアノならば自分の要求に応えてくれるだろうと思わせたのだから、やはりすごい。

そんな“ピアニスト”プレトニョフ氏が、もうすぐ日本にもやってきます!!
今回ももちろんカワイの最上位機種のコンサートグランド、
シゲルカワイSK-EXが用いられる予定とのこと。
プレトニヨフが惚れ込んだ音とは、
そして、あの天才が表現する理想の音とはどんなものなのか、
それを確かめるためだけでも、会場に行く価値がありますよね。

東京公演は、浜離宮朝日ホール(5/23リサイタル)
東京オペラシティ(5/27協奏曲、5/29リサイタル)があります。
あとは関西で兵庫県立芸術文化センター(5/28リサイタル)

東京の2つのリサイタルは、それぞれまったく違うプログラム。
ある筋の情報では、浜離宮のほうの残席がそろそろ少なくなってきているとのこと。
まだの方は、チケットお早めにおさえておいたほうがよさそうですよ!!
席数550余りの浜離宮ではきっと、プレトニョフの弾くシゲルが、
隅々まで見事なまでによく聴こえちゃうことでしょう…そうでしょう…そうでしょう…。

…これだけ言っておきながら、
今回わたくしこの時期ある取材のために日本脱出を計画しており、
どの公演もまったく聴けません。
そんなわけで、書いていてだんだん辛くなってきたので、
このあたりで終わりにしておこうと思います。

横山幸雄・超人伝説

先日行ってきました、西麻布の「リストランテ ペガソ」

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ピアニストの横山幸雄さんがオーナーをしているイタリアンレストランです。
横山さんのお店、以前は恵比寿駅と渋谷駅のちょうど真ん中くらいにありましたが、
昨年、今度は表参道駅と広尾駅のちょうど真ん中くらいのこの場所に移転しました。
駅と駅の間が好きみたい。

わたくし、実は移転後のお店で食事をしたことがないのですが…
同じシェフのお料理は前のお店でいただいておりまして、
お皿はひとつひとつ美しく、繊細かつパリッとしたお味で、かなり好みでした。
北海道出身のシェフということで、ジビエ系がお得意とのことだったような。
そしてワインはユキオ・ヨコヤマセレクトのラインナップですから、間違いありません。

で、この日は食事にいったわけではなく、ラジオ「みよたカンタービレ」の出張収録でした。
今年も5月のゴールデンウィークに開催される「ショパン全曲演奏会」について、
大いに語っていただこうということで、突撃インタビューです。
放送は来週の土曜日あたりかな? Webにアップされるのも4月の初旬になると思います。

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横山さんのショパン全曲演奏会も、今年でなんと5回目を迎えます。
1年目こそ、アイデアを聞いた瞬間はぶったまげましたが、
今となっては「あーまたやるんだ。今度はどんな内容?」みたいな感じになっているから、
人間の慣れとは恐ろしいものです。

過去4回、少しずつ内容を変化させながら開催されてきましたが、
今年は2日間にわけて、これまでで最大曲数を取り上げるとのこと。
実は、現在配布中のぶらあぼ4月号 で、インタビューを書いています。
おそらく誰もが感じているであろう
「横山幸雄は一体どこに向かっているのか?
なんでこんなに大変なこと(だと普通の人間は思う)を毎年やっているのか?」
についても切り込んでおりますので、ぜひお読みください。

で、今回ここではこうした記事の中では書ききれなかった(書けなかった)ことを中心に、
いくつかの「横山幸雄・超人伝説」の中から
あえてどうでもいいものをご紹介したいと思います。

まずその1。
これは有名な話ですが、『1日1食しか食べない』。
朝起きてお腹空いてないんだろうか…とかいろいろ疑問に思いますが、
日中は本当に食べないらしいです(水は飲みます)。
そして、夜1食ちゃんとしたものをたっぷり食べるらしい。
これは、全曲演奏会の日でもそうなんですって。信じられなーい。
以前「お腹空いたという感覚がないんですか?」と聞いてみたところ、
「そういう意味では、常にお腹空いてるね」とのこと。、
まるで、ストイックなトップモデルのような発言だ。
食べると集中力が鈍るとか、いろんな理由をおっしゃっていましたが、
自分がいまだに妙な共感とともに記憶しているのは、
「変なもの食べるくらいなら、食べない方がいい」と言っていたこと。
確かにね。
忙しい合間に添加物たっぷりのカップめんやらコンビニ弁当を食べるくらいなら、
何も食べないほうが体にいいのかもね。まあ、真似はしないほうがいいと思いますが。

その2。
『練習は短いほどいい』。
これはぶらあぼでのインタビューの中でも書きました。
これだけの演奏会をこなしている横山さんはどうやって練習時間を確保しているのか?
と尋ねたところ、この話が出ました。
曰く、
「練習しているということは向上しているということ。
練習し終わった状態が一番良いとすれば、
練習中は理想的でないモノをずっと自分の耳に聴かせることになるでしょ、
そうすると自分の耳を、どんどんバカにしていることになるから。
実際にどれだけ短くできるかは別にしても、基本的に、僕はいつもそう思ってる。
だから、頭の中で構想もまとまっていないのに練習するのは、無意味どころか毒。
もちろん、ある動きを覚え込ませるため、また毎回変わる本番の状況に対処できるように、
指を慣らしておく練習をすることはどうしても必要なんだけど」
…なんていうか、圧倒的な運動能力を持つ指と、
過敏ともいえるほどの耳を持っている人ならではの発言だなと思いました。

そして、その3!
『電話番号が全部ショパンの作品番号に見える』。
全曲演奏会の日、暗譜はもちろん、演奏順を覚えるのだけでも大変ですよね?
みたいな話題になったときに出てきたお話。
基本的にショパンの作品のOp.番号はほとんど頭に刻み込まれていて、
それによって演奏順を覚えているらしいんだけど
(だから、ナショナルエディションの作品番号が出てくると一気に混乱するらしい)
結果、人の携帯の電話番号も、2ケタずつに分かれてショパンの作品番号に見えるうえ、
見ると頭の中で音楽が流れるらしい…。
これはもう、インド人もびっくりですよ。
(インド人って電話番号めちゃくちゃ覚えてるんですよね。
歩く電話帳のような友人がたくさんいます)

というわけで長くなりましたが、インド人もびっくりの超人・横山幸雄。
その演奏クオリティの絶対的な安定感、クールと見せかけて熱い表現。
私にとって、任せて安心(?)、繰り返し聴きたいと思うピアニストの一人です。
横山さんのショパン全曲演奏会、今年は5月3日、4日の2日間
両日聴けばショパンが降臨する瞬間を感じられると思いますが(自分も一度経験済み)、
初日はかなり演奏機会の少ない作品が目白押しですので、
一度は聴いておくといいと思います。