正真正銘ノンフィクション連載「ピアノ教室に通ってみた」のこと


現在、第12回まで公開している連載「ピアノ教室に通ってみた」
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代々木公園近く、ハクジュホールがあるビル内に昨年オープンしたコロムビア音楽教室のご協力のもと、とある編集者が、約四半世紀のブランクを経てピアノを再び習う様子を、実体験をもとにつづっている連載です。正真正銘、ノンフィクションです(多少ご本人の妄想入ってることはあるけど)。

初回のレッスンで楽譜に書いてある「ラド」の音符も正しく読めなかったこの人が(連載第3回参照)、担当講師、高橋ドレミ先生のあの手この手を使った指導のもと、なんとモーツァルトの「トルコ行進曲」を通して弾くまでになりました。週1回、45分のレッスンを続け、2ヵ月半くらいでしょうか。そのうえ、ついに暗譜での演奏も!

それにしてもちょうど最新の第12回の原稿を読んで、自分自身の辛い思い出がよみがえりましたよ。
プロの方々でも、一度の“ブラックアウト”の経験がフラッシュバックするというおそろしい現象があると聞きます。ミスをしてしまったときの状況や心境って、妙にはっきり記憶されるもんですよね。
ちょうどイスラエルでとあるコンテスタントとそんな話をしたところでした。自分が演奏する日の前夜、何の気なしにネット配信で別のコンテスタントの演奏を聴いてみたら、ちょうどその人が一瞬暗譜が飛んじゃっている場面を観てしまい、自分にもこれまででたった1度だけ起きたその場面が記憶によみがえってしまって、頭を抱えて必死で振り払った…という。

こういうプロの方々の経験とはだいぶ別の形とはいえ、子供の頃、とくに才能があるとかでもなく何となくピアノをやっていた人の多くに、人前で弾いたときの苦い記憶ってあるのではないでしょうか。クラスメイトなどのささいな言動に振り回され…というのもよくあるパターンです。
私も「幼稚園から高校生まで」とそれなりに長い期間ピアノをやっていた中で、合唱祭や卒業式でピアノ担当に駆り出され、苦痛な記憶がたくさんあるほうでございます…。

一番こわかったのは小学校の夏休みの林間学校で、“林間学校の歌”を最終日にみんなで歌ったときのことですねー。
夏休みが始まる前、各クラスからピアノを弾ける子がピックアップされ、「みんなそれぞれ練習して、出発前の登校日の時点で一番弾けていた子に伴奏してもらいます」という通達がありました。他のクラスのお嬢様系女子Aちゃんが「これ、Aちゃんが絶対弾くもんね~! Aちゃんがんばって練習するからね!」と言いまくっていたので、闘争心ゼロの子供だった私は「あー、よかった」と思って、適当に気が向いた時に練習する感じで夏休みを過ごしていました。
登校日当日。みなさんもう想像がついているでしょう。音楽の先生に集められると、Aちゃんは「Aちゃんできなかった、えへへー!」と言い、他の子たちも全滅。通して一応弾けるというレベルの私がその役を押し付けられることになったのでした。未だに、なぜあそこでやりたくないと強く主張しなかったのか、自分でもわかりません。
今も昔も緊張しいの自分、そんなレベルの仕上がりで緊張の中演奏して、うまくいくはずがありません。後半でよくわからなくなって、モーレツに焦り、適当に弾きとおしました。ばれなかったはずはないけど、止まらなかったしなんとかごまかせたかなと思っていたら、その後ふだん暴れん坊の男子に、「まあ、元気出せよ」と言われ、ああ、やっぱりね…暴れん坊に励まされるほどひどかったのね…と思いました。
くやしかったです。くやし涙が出そうなほどでしたが、それをバネに一生懸命練習するようになることは、まったくありませんでしたね。

まあ、これに限らず、いくつかの苦痛の記憶があります。この、人前で弾くことの緊張がイヤで、何一つ喜びを感じられなかったことも、高校生の途中であっさりピアノをやめた理由のひとつでしょう。

さて、話を戻しましょう。とある編集者の連載「ピアノ教室に通ってみた」。
読んでいると自分もまた弾いてみたくなって、部屋に一応置いてあるキーボードを触ってみたりして。昔暗譜した曲は指が覚えていてなんとなく弾けたりするものの、指がなまりまくっているし、音もだいぶ忘れています。それでワタワタしているうちに指が疲れてしまい、改めて楽譜をひっぱりだしてきて弾き直すところまではいかないまま終わるという。
でも、ほんの20分くらいでも指を動かすとあたまがすっきりするんですよね。

実は先日、ドレミ先生によるとある編集者氏のレッスンの様子を見に行ってきました。
その人にあわせた個性的なレッスンの成果か、なんと、楽譜を外してほとんど弾けるようになっていました。そのうえ、暗譜をしたうえで演奏にニュアンスをつけていくレッスンに入っていました。
弾きにくそうにしているパートがあればすかさずドレミ先生が発見して、音をつかみやすい、はずしにくくなる、そしてフレーズの流れをつけやすくなる指のポジションなどもアドバイスしていきます。自分が子供のころ、こんなふうに合理的なアドバイスをしてもらっていたかなぁ?
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ひとつひとつアドバイスされるたびに、「はぁ~、なるほど。本当だぁ」という言葉を漏らす、とある編集者氏。(そのわりには指番号を書き込んだりしないのが気になる。覚えられるのかな)。
音楽教室、そう、そこは会社でどんなにえらそうにしているおじさんも、若い娘に従順になってしまう場所。(別にこのとある編集者氏が会社でえらそうにしているという意味ではありませんが)

レッスンを見学して帰った夜、つい、自分がまだ「トルコ行進曲」が弾けるかどうか、キーボードに向かってしまいました。指がぜんぜんまわらなくなってる…と愕然。
しかしこの日を境になんとなく思いついたときに15分くらいでもぽちっとキーボードのスイッチをいれるようになり、だいぶ思い出してきて指も動くようになってきました。

やっぱり子供時代の長らくの訓練は捨てたもんじゃないです。久しぶりにちゃんとしたピアノで弾いてみたいなという気持ちにもなりました。やっぱり、簡易型キーボードのタッチはもんやりしていて辛い。自分の耳で、響く生音を聴きながら弾いてみたいよねー。昨日ちょうどチッコリーニの演奏を聴いたばかりなので、妄想は広がります。あんな音、絶対出せないけど…。
これは、私もピアノを再び始めるときが迫っているということでしょうか。他の楽器をやってみたいような気もするんだけどね。

とある編集者の連載のほうも、あと少し続きます。今後どんな進歩を遂げてゆくのか、ご注目ください。
ちなみに、公式サイトにはドレミ先生のお子さんむけのレッスンの様子なんかもアップされてますよ。
http://www.columbiamusicschool.jp/archives/296.html

ピアノ以外にも、ヴァイオリン、そしてキャンペーン中だというフルートやチェロのコースもあるようです。先生たちがやたらめったらさわやかですので、ぜひHPをのぞいてみてください。コロムビア音楽教室、無料体験レッスンは常時受付中ですってよ!

◇コロムビア音楽教室
http://www.columbiamusicschool.jp/