1次予選の演奏順とシャイボーイの心

ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、
1次予選の演奏順が決まりました!
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会場は、コンテスタント宿泊中のホテルの広間。
けっこう取材のカメラがいて驚きました。
冒頭にアーティスティックディレクター、
そして審査委員長のアリエ・ヴァルディさんからのお言葉。

そしていよいよ抽選です。
抽選の方法はこんな感じ。
まず籠にぎっしりつめこまれたこんな黒い小袋を一つずつとります。
(とる順番は、なんとなく前に座っている人で手を伸ばした順と、かなりテキトー)
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小袋の中にはこんなものが入っており。
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この丸いプレートの後ろにある番号の順に、好きな日時を選ぶことができます。
1番を引いた人が一番選び放題、最後に残るのは…?という感じです。
さっさと選ぶ人もいれば、考え込む人もいます。
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なかなか決めないと、「明日弾く?いっぱい空いてるわよ。」とか、
冒頭からユルい司会進行を繰り広げている事務局のおばさんにちょっかいを出されます。

演奏順を選ぶのが最後になってしまったのは、
前回の浜コンに出場していたのでご存知の方も多いでしょう、
オシプ・ニキフォロフさん。
しかしなぜか最後から2番目の順番だったNamoradze Nikolasさんが、
年長者ゆえの優しさからか一番手を選び、オシプ君は2番目になったのでした。

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最後はコンテスタント全員と審査委員長、アーティスティックディレクターで集合写真。
しかしほんの数枚撮ったと思ったら、事務局スタッフやら関係者やらが、
私も私もと次々真ん中に収まって記念写真を撮るという。
しまいには、自撮りで集合しているコンテスタントを背景に写真を撮る人まで現れ、
だいぶよくわからないまま、しかしとても和気藹藹とした雰囲気で抽選は終わりました。
ちなみに、何人かのコンテスタントは未到着のためここにはいません。
おなじみニコライ・ホジャイノフ君も、
ちょうど今夜ロンドン、ウィグモアホールデビュー公演、ということで欠席です。

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さて、こちらは抽選を終えた中桐望さん。
演奏順が決まると、番号を書いた丸いシールを強制的に貼り付けさせられます。

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こちらは、よっしだ君こと吉田友昭さん(右)。
お隣は、Yutong Sunさん。

そして、こちら抽選後のチョ・ソンジン君。
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写真撮るよというと、ハイどうぞという感じで止まるくせに、
いざ撮ろうとすると顔を隠し(でもこっち見てる)、
「僕はシャイボーイなんだ」となぜか主張していました。
このまま載せるよ、というと、画面をチェックして、別にいいけどという反応。
シャイボーイの心理はよくわかりません。

さて、今夜はこれからオープニングコンサート。
そして明日いよいよ午後2時(日本時間午後8時)からコンクールの演奏がスタートです。

 

コンクールにピアノを出すわけ

いよいよ演奏順も決まり、明日からコンクールの演奏が始まります。
ピアノの選定は11日から行われていました。
各人の持ち時間は15分。
ステージ上に置かれたファツィオリ、スタインウェイの2台から選びます。


(写真は、選定が始まる直前の様子)

自分にとって弾きやすいか、演奏するプログラムに合うかどうか、
本選まで進んだ場合、オーケストラと合わせても負けない力をもっているか、
そしてとにかく自分好みの良い音がするかなど、
コンテスタントはいろいろな観点からピアノを選ぶのだと思います。
そして、選ぶ人が多くないピアノをたまたま選んだりすると、
演奏順のタイミングによっては自分の好みに合わせてじっくり調整してもらえる…
ということも、あったり、なかったり。
ピアノ選び、けっこう奥が深いです。

ピアノメーカーの方と突っ込んだお話をしていると時々出てくる話題に、
コンクールのステージにピアノを乗せるということをメーカーが一体なぜ続けるのか、
というものがあります。
その意義は一見明らかなようで、とても微妙なものだったりするんですよね。
ホール自体が所有していることが多いメーカーはまだ良いかもしれませんが、
そうでない多くのメーカーの場合は、コンクールの度に、
海を越えての運送や、長らく運搬された後の楽器の調整などが必要で、
資金も労力もかかります。
同時に、少しでも優れたピアノをつくりたい、
ピアニストの力になる楽器をつくりたいという熱い想いがいくらあっても、
モノをつくるメーカーである以上、そのモノが売れなければ成り立たないわけで。

優勝者が使ったメーカーだからといって
すぐに世界のホールがそのピアノを買い求めるわけではありません。
ファンの人が、ポンっ!と買うということも、そう多くはないでしょう。
もちろん認知度はあがってその良い音を多くの人が聴くことになるし、
さらに言えば、将来活躍するであろうピアニスト達に
一度でもそのピアノを弾いてみる機会を持ってもらうきっかけにはなると思いますが。

その意味で、コンクールのステージにピアノをのせるというのは、
単にビジネスのことを考えればちょっと遠回りな“プロモーション”と
考えられなくもありませんね。
それでも確かに、根気よくコンクールへの挑戦を続けることで、
少しずつ世界のホールでも導入されることが増えているというのは、実際あると思います。

まあ、そんなピアノメーカーの商売事情はさておき、
私たちピアノ好きにとって大切なのは、
こうしたコンクールの舞台をひとつの目標にメーカーがより優れた楽器を開発し、
調律技術者の方々もその技を磨いていってくれるということ。
こうして世の中に良い音のするピアノが増えていくのですから、すばらしいことですよね。

19:19のミステリー

5月13日には、オープニングコンサートが行われます。
演目は、バルトークの「2台ピアノとパーカッションのためのソナタ」、
ストラヴィンスキーの「結婚」、モーツァルトの幻想曲ニ短調K.397 、
そしてベートーヴェンの合唱幻想曲。
ピアノは過去の入賞者たち。
すごく凝ったプログラミングは、元ピアニスト、ジャーナリストだったという
コンクール事務局のディレクター、Idith Zviさんによるものらしいです。


こちらはリハーサル終了後の風景。
ファツィオリの方にリクエスト中のトリフォノフ。
重要なことを言おうとしているとき、
相手にものすごく近寄って一気にしゃべる様子は相変わらず。

しかしひとつ大きな異変が。

…セカンドバッグ!?(しかもなんかでかい)

トレードマークだったななめかけ鞄は卒業したのでしょうか。(どうでもいい話ですみません)
後日インタビューをする予定なので、
そのあたりを中心にじっくり話を聞いてみようと思います。(冗談です、ちゃんと音楽の話も聞きますよ)


一方こちらの写真左から2番目はバルトークで登場する、
第12回第4位入賞のDavid Fungさん。
豊かにピアノを鳴らし、すごく楽しそうに弾いていました。
ニコニコ素敵なご両親と、コンクールのアーティスティックディレクター、Idith Zviさん(右)。

コンサートは、ライヴ配信される予定です。
13日20時開演、日本時間だと14日深夜2時とちょっと遅い時間ですが、
(記載してあった開演時間が間違っていました。申し訳ありません!)
ぜひチェックしてみてください。
たぶん配信されるのはこちらのサイトのはずです。

そして夜は、テル・アビブ郊外でトリフォノフの師匠でもある
セルゲイ・ババヤン氏のリサイタルがあるというので行ってきました。
リスト、バッハ、ショパンの小品が組み合わされ、考え抜かれたプログラムで、
アンコールはなし。
よほど曲目的に意味があると思わない限り、基本的にアンコールは弾かないらしいです。
ピアノが唸りを上げるような爆発的な音、なめらか~なレガート、さすがの演奏でした。
日本にもっと来てくれたらいいのに。


ところでこちらが今日のチケット。
どこに何が書いてあるのかさっぱりわかりませんが、
19:19…これは何かのコード番号ではなく、開演時間です。
なんと中途半端な時間。
近くに座っていたトリフォノフに、
「なんで19時19分なの?19はババヤン先生の好きな数字なの?」
と聞いてみましたが、
「全然わからない。このコンサートだけ特別みたい。ミステリーだ」
と言っていました。
ミステリー…。