コンクールのステージと課題曲

さて、今日からステージ1が始まるということで、
ここでルービンシュタイン国際ピアノコンクールについて改めておさらいです。
ポーランド出身のユダヤ系ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタイン。
ポーランドのウッチに生まれ、スイスのジュネーブで没し、
イスラエルのエルサレムに眠っています。

そんな20世紀の巨匠の名を冠したこのコンクールは、1974年に開設。
3年に一度開催され、今年で第14回目の開催となります。
いわゆる世界〇大コンクールと呼ばれるものに入るコンクールではないかもしれませんが、
ピアニストのキャリアにとって、何かとても重要な意味合いを持つコンクールのようです…。
それだけに、今回の出場者も実力派ばかり。
過去の優勝者には、ゲルハルト・オピッツ、エマニュエル・アックス、
アレクサンダー・ガヴリリュク、そしてダニール・トリフォノフなどが名を連ねます。

今回のコンクールは以下の3つのステージからなります。

◇ステージ1(5/14~19)36名
40~50分のリサイタル

◇ステージ2(5/20~22)16名
50~60分のリサイタル

◇ファイナル(5/23~29)6名
室内楽:既定の作品から1曲
協奏曲:モーツァルトの20~27番とベートーヴェンの1、2番から任意の作品を1曲
既定のピアノ協奏曲から任意の作品を1曲

リサイタルの課題曲の規定はとても自由で、
ステージ1、2あわせてどこかに古典派とロマン派の作品を入れること、
コンクール指定の現代作品が入っていること、という内容。
(課題曲、くわしくはこちら
そしてファイナルに進んだあとも3つのステージで演奏することが求められるという、
なかなかタフなコンクールです。
ステージ間に空き日はありませんが、
そのかわり一日に演奏する人数が多くないのでゆったりめに進んでいきます。

さて、いよいよ本日14日14時(日本時間20時)からステージ1の初日が始まります。
浜コンでなかなか個性的な演奏を聴かせてくれたオシプ・ニキフォロフさん、
そして日本からは須藤梨菜さんも登場します!
ホールが極寒なので、たくさん上着を用意して行こうと思います。

 

1次予選の演奏順とシャイボーイの心

ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、
1次予選の演奏順が決まりました!
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会場は、コンテスタント宿泊中のホテルの広間。
けっこう取材のカメラがいて驚きました。
冒頭にアーティスティックディレクター、
そして審査委員長のアリエ・ヴァルディさんからのお言葉。

そしていよいよ抽選です。
抽選の方法はこんな感じ。
まず籠にぎっしりつめこまれたこんな黒い小袋を一つずつとります。
(とる順番は、なんとなく前に座っている人で手を伸ばした順と、かなりテキトー)
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小袋の中にはこんなものが入っており。
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この丸いプレートの後ろにある番号の順に、好きな日時を選ぶことができます。
1番を引いた人が一番選び放題、最後に残るのは…?という感じです。
さっさと選ぶ人もいれば、考え込む人もいます。
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なかなか決めないと、「明日弾く?いっぱい空いてるわよ。」とか、
冒頭からユルい司会進行を繰り広げている事務局のおばさんにちょっかいを出されます。

演奏順を選ぶのが最後になってしまったのは、
前回の浜コンに出場していたのでご存知の方も多いでしょう、
オシプ・ニキフォロフさん。
しかしなぜか最後から2番目の順番だったNamoradze Nikolasさんが、
年長者ゆえの優しさからか一番手を選び、オシプ君は2番目になったのでした。

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最後はコンテスタント全員と審査委員長、アーティスティックディレクターで集合写真。
しかしほんの数枚撮ったと思ったら、事務局スタッフやら関係者やらが、
私も私もと次々真ん中に収まって記念写真を撮るという。
しまいには、自撮りで集合しているコンテスタントを背景に写真を撮る人まで現れ、
だいぶよくわからないまま、しかしとても和気藹藹とした雰囲気で抽選は終わりました。
ちなみに、何人かのコンテスタントは未到着のためここにはいません。
おなじみニコライ・ホジャイノフ君も、
ちょうど今夜ロンドン、ウィグモアホールデビュー公演、ということで欠席です。

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さて、こちらは抽選を終えた中桐望さん。
演奏順が決まると、番号を書いた丸いシールを強制的に貼り付けさせられます。

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こちらは、よっしだ君こと吉田友昭さん(右)。
お隣は、Yutong Sunさん。

そして、こちら抽選後のチョ・ソンジン君。
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写真撮るよというと、ハイどうぞという感じで止まるくせに、
いざ撮ろうとすると顔を隠し(でもこっち見てる)、
「僕はシャイボーイなんだ」となぜか主張していました。
このまま載せるよ、というと、画面をチェックして、別にいいけどという反応。
シャイボーイの心理はよくわかりません。

さて、今夜はこれからオープニングコンサート。
そして明日いよいよ午後2時(日本時間午後8時)からコンクールの演奏がスタートです。

 

19:19のミステリー

5月13日には、オープニングコンサートが行われます。
演目は、バルトークの「2台ピアノとパーカッションのためのソナタ」、
ストラヴィンスキーの「結婚」、モーツァルトの幻想曲ニ短調K.397 、
そしてベートーヴェンの合唱幻想曲。
ピアノは過去の入賞者たち。
すごく凝ったプログラミングは、元ピアニスト、ジャーナリストだったという
コンクール事務局のディレクター、Idith Zviさんによるものらしいです。


こちらはリハーサル終了後の風景。
ファツィオリの方にリクエスト中のトリフォノフ。
重要なことを言おうとしているとき、
相手にものすごく近寄って一気にしゃべる様子は相変わらず。

しかしひとつ大きな異変が。

…セカンドバッグ!?(しかもなんかでかい)

トレードマークだったななめかけ鞄は卒業したのでしょうか。(どうでもいい話ですみません)
後日インタビューをする予定なので、
そのあたりを中心にじっくり話を聞いてみようと思います。(冗談です、ちゃんと音楽の話も聞きますよ)


一方こちらの写真左から2番目はバルトークで登場する、
第12回第4位入賞のDavid Fungさん。
豊かにピアノを鳴らし、すごく楽しそうに弾いていました。
ニコニコ素敵なご両親と、コンクールのアーティスティックディレクター、Idith Zviさん(右)。

コンサートは、ライヴ配信される予定です。
13日20時開演、日本時間だと14日深夜2時とちょっと遅い時間ですが、
(記載してあった開演時間が間違っていました。申し訳ありません!)
ぜひチェックしてみてください。
たぶん配信されるのはこちらのサイトのはずです。

そして夜は、テル・アビブ郊外でトリフォノフの師匠でもある
セルゲイ・ババヤン氏のリサイタルがあるというので行ってきました。
リスト、バッハ、ショパンの小品が組み合わされ、考え抜かれたプログラムで、
アンコールはなし。
よほど曲目的に意味があると思わない限り、基本的にアンコールは弾かないらしいです。
ピアノが唸りを上げるような爆発的な音、なめらか~なレガート、さすがの演奏でした。
日本にもっと来てくれたらいいのに。


ところでこちらが今日のチケット。
どこに何が書いてあるのかさっぱりわかりませんが、
19:19…これは何かのコード番号ではなく、開演時間です。
なんと中途半端な時間。
近くに座っていたトリフォノフに、
「なんで19時19分なの?19はババヤン先生の好きな数字なの?」
と聞いてみましたが、
「全然わからない。このコンサートだけ特別みたい。ミステリーだ」
と言っていました。
ミステリー…。

いいピアニストいっぱい

ルービンシュタイン国際ピアノコンクール、
一次予選からファイナルまで現地で取材をします。

コンクールの第1回がおこなわれたのは1974年のため、
今回の第14回は開催40周年の記念の回なのだそうです。
いつもわりとフェスティバル的なノリで開催されるらしいので、
そんないつも以上に盛り上がる感じなのかな。

前回優勝したダニール・トリフォノフが、コンクール期間中、
毎日海で泳いでビーチを走っていたと話していたのを聞いて、
ちょっとゆっくり滞在するのもおもしろそうだなと思い、
3週間の全日程をカバーすることにしました。
スニーカーとビーチサンダルを持ってコンクールの取材に来るのは初めてです。

しかしなにより、出場者の面々がものすごく豪華なのが、
聴きにくることにした大きな理由です。(ちゃんと仕事しますよ…)
コンクールでおなじみのいい子たちはもちろん、
コンテスタントの一覧を見ると、聞いたことのある名前ばかり。
すでに日本でも演奏活動をしているようなピアニストもたくさんいます。
そして日本からも有望な4人のピアニストがエントリーしています。
コンテスタントの一覧はこちら

最近のコンクールにはよくある傾向ですが、
このコンクールも課題曲はかなり自由。
そのため、リサイタルを聴いているような気持ちで演奏を楽しむことができそうです。
日本からの時差は6時間。
お気に入りのピアニストを見つけるべく、一緒に聴いて盛り上がりましょう!