チョ・ソンジン、消えたさらさらヘアー


今さらですが、今月のぶらあぼにチョ・ソンジン君のインタビュー記事を寄稿しています。
10月27日に行われる浜離宮朝日ホールでのリサイタルについて。

2014年10月27日(月) 19時開演 浜離宮朝日ホール
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K.281
シューベルト:即興曲集 D.935より 第3番 変ロ長調 Op.142-3
バルトーク:「野外にて」BB 89 / /Sz81
ショパン:即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49
ショパン:4つのマズルカ Op.33
ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52

ジャパン・アーツHPでは、
多少余計な話題も入ったインタビューほぼ全文バージョンを公開中。

このインタビューは、先のルービンシュタインコンクールの期間中、
本選の演奏後にとっつかまえて廊下でおこなったものです。
お疲れだったはずですが、すべての演奏を終えて安心していたのか、
これまでで一番リラックスした様子でお話を聞かせてくれました。

今回のプログラムから、モーツァルトの「幻想曲」とバルトークの「野外にて」を
コンクールのステージで一足先に聴きました。
チョ君の透明感ある音がモーツァルトに合うのは、わざわざ言う必要もないでしょう。
びっくりさせてくれたのはバルトークでした。
“シャイボーイ”チョ・ソンジン過去記事参照の、
内に秘めたデンジャラスな何かを垣間見た気がしました。
後半のショパンは、コンクールを視野に入れて増やしているレパートリーということで、
来年にむけての気合も感じられます…。
てっぺんを目指す男、チョ・ソンジン。
彼が15歳の頃、初めて浜松コンクールで聴いた時、確かに光る才能は感じましたが、
ここに何かが加わったらすごくなるだろうな…
そう思っていた何かが加わりつつある気配を、今のチョ君からは感じます。

モーツァルト、バルトークが聴けるルービンシュタインコンクールの演奏動画はこちら
(ショパンのソナタもいいよ)

今年20歳になったチョ君。
夏の間、4週間の兵役に行くことになっていたということで、
(普通2年間らしいので、かなり免除されているんですね)
戻ってから2ヵ月で、がんばって本調子を取り戻さないと!と言っていました。
それと同時に、坊主にした髪の毛は2ヵ月では戻ってこないよね…と心配していました。
次の来日時にはチョ君のあのサラサラヘアーにはお目にかかれないと思うと
少々残念な気もしますが、
きっとそのぶんバルトークのワイルドさに磨きがかかっているのではないかとも思います。
軍隊的なワイルドさがいいかどうかは別ですけど。

ところで、ジャパン・アーツHPに掲載のインタビューで
チョ君はふたりの男たちへの憧れを語っています。
師であるミシェル・ベロフ氏と、10月に共演するミハイル・プレトニョフ氏。

この前、某ピアニストさんのインタビューで、
一部のアーティストっていくつになっても心は永遠に青年なんだなと思うことがありましたが、
ベロフ氏もそんな、“永遠に枯れない”ピアニストの一人でしょう。
4年前、取材でご自宅に訪れたところ、嬉しそうに赤ん坊を連れて出てきたので、
お孫さんかと思ったら、お子さんでした(ベロフ氏当時60歳)。
そんなベロフ氏について、チョ君はその素直な感情表現と優しさについて、
「僕とは正反対」と照れ隠しに言いながら、憧れると語りました。

一方プレトニョフ氏については、そのユーモアセンスに憧れるとのこと。
以前このブログでも紹介したことのある日本語コメント動画を見れば一発でわかる、
あのキョーレツにシュールなユーモアセンスに憧れるとは、
チョ君もなかなか…。
チョ君が一体どこに向かっていくのか、見ものです。