ムンバイまでは、インド楽器奏者の友人たちに助けてもらいながらなんの問題もなく過ごしてきましたが、チェンナイに夜遅く着いて、久し振りにインドあるあるのトラブルに遭遇。
レセプションで「今朝電話したけど出なかったから、部屋はキャンセルしたので、お前が泊まる部屋はない」っていわれるやつ…。
ここはひとつ頑固に譲らないぞ、でも怒っても仕方ないし…と思って悲しげな表情を見せたら、近くの同じ系列の別のホテルに部屋を用意してあげるから我慢してくれと。そしてご丁寧に、オーナー夫妻の妻が一緒にオートリキシャー(バイクタクシー)に乗ってついてきてくれるという安心のサポートっぷり。悲しげな表情がかなり効いたみたいです。
ただ、スーツケースもあってリキシャーの中は超ギュウギュウなのに、奥さんは膝に小学生の子供を乗せてついてきました。なんだろう、ちょっとしたアトラクション感覚なのか。
到着して早々あちこち連れまわされて疲れましたが、こういう優しいフォローは初めてです。まあそもそも、勝手にキャンセルするのがひどいんですけどね…。
そして部屋のバスルームに入ったら、トイレットペーパーが、立ち上がってなお見上げる位置にセッティングされていました。今まで見た中で最高です。
チェンナイは南インドの大都市のひとつ。
言葉はタミル語なので、連邦公用語のヒンディー語は基本的に通じません。なので、困ったことがあるともうお手上げ…。
ヒンドゥー寺院の雰囲気も特徴的です。私はまだチェンナイは2回目なのですが、このカーパレーシュワラ寺院のプージャ(礼拝)の音が妙に気に入っていて、今年も見にいったりしました。
チェンナイのカーパレーシュワラ寺院、プージャの音と雰囲気に妙に心ひかれて、また来てしまった。鐘鳴らし係のおじさんのこなれ感がとってもクール。 pic.twitter.com/pDMGk1pvbj
— 高坂はる香(音楽ライター) (@classic_indobu) 2019年2月20日
さて、ヤマハ・ミュージック・インディアのお話。
今年からインドで現地生産を開始、そのチェンナイ工場を見学してきました。まずはアコースティックギターとキーボードから、今後は音響機器の製造も予定しています。
インドでアコースティック楽器の大規模生産をするのはヤマハが初めてだそう。
ただ、アコースティックピアノの現地生産の予定は、さすがに今のところないみたいです。
本社からの期待も大きいそうです…インドがヤマハさんの中で期待されているだなんて、なぜかしら、他人事ながら嬉しい。
この工場では、積極的に女性を雇用しているということで、工場内にはたくさんの若い女性スタッフの姿が見られました。女性が外で働きにくいこのインドの地で、すばらしいこと!中心地から車で1時間半ほどのこの工業エリアには、日本の企業の工場がたくさんありますが、ほとんどが自動車関連なので、女性は働きにくいんだって。
食堂も完備で、朝昼ごはんが出るそう。海外の生産拠点あるある的な手口(?)みたいですが、朝ごはんを出すと、出勤をサボる人が減るらしい!
社長の芳賀崇司さんは、これまでにも海外の生産拠点のお仕事を何箇所も経験しているそうです。(ランチをオススメするポージングの写真に付き合ってくださった、優しい芳賀社長)
いろいろとお話を伺いましたが、さすが素敵ななんとかなる精神の持ち主であります。2008年の開設以来、歴代のヤマハミュージックインディア社長にお目にかかっていますが、みなさんそんな感じ。そうじゃなきゃインドの社長なんてできませんよね…。
芳賀さんは今回、次の工場は(世界の中の)どこにするか、その段階から携わっていたそうです。インドでのビジネスは、法的な手続き関係でものすごく時間がかかることが多いですが、今回は新記録な勢いでスピーディにことが進んだみたい。それには、モディ首相のメイク・イン・インディア政策の流れもあったと思いますが、ちょうどチェンナイ州が、外資企業の受け入れ手続きがのろすぎるという評判がたってしまったのを払拭しようとしていたタイミングだったからだとか。幸運でしたね。
芳賀さん、ヤマハのものづくりの未来はもちろん、地元の人たちへの貢献も大切にしていて、かっこいいなと思いました。いろいろと詳しくお話を伺いましたので、のちの記事をお楽しみに…。