テキサス、フォートワースにやってきました。
4年に1度行われる、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール。
思えば2005年にコブリンが優勝した回から毎回何かしらの期間聴きに来ていて、取材をするのは今回が4回目になります。
毎回参加者のレベルが高い…というか、もう演奏活動してますよね?という顔ぶれが多く見られるのは、やはりこのコンクールに優勝・入賞すると、3年間のマネジメント契約により、当面アメリカでの活動が確実に増えるなど、普通のコンクールとは少し違った、わりと直接的な形でキャリアにプラスの影響があるからでしょう。
このコンクールに上位入賞したらその後はコンクールを受けない、という人がけっこう多いのはそのためでしょうね。
今年のコンテスタントの顔ぶれはこちらで見ることができます。
そして、1次予選の演奏順はこちら。
初日(25日)の二人目には日本の深見まどかさんが登場。
2日目(26日)には、この前の浜松コンクール3位入賞のダニエル・シューさん、それから、同コンクールで1次を通過せず、自分や自分周辺の人々の間に密かに衝撃が走っていたフィリップ・ショイヒャーさんが。
3日目(27日)には、前回のショパンコンクールの際、手の故障で大変そうだったけど人気を集めていたルイジ・カローチャさん、そして日本ではすでにおなじみのニコライ・ホジャイノフさんが朝から続けて登場。
そして最終日(28日)は、前回のショパンコンクール5位だったイーケ・トニー・ヤンさん、いろいろなコンクールでおなじみのレイチェル奈帆美工藤さん、そして最後の奏者には、前回ショパンコンクールのファイナリストだったアリョーシャ・ユリニッチさんが登場します。
他にもちょっと名前を挙げきれないくらい、おなじみの顔ぶれがたくさん。それにもちろん、単に私にとって”おなじみ”でないだけでまだ見ぬ素敵なピアニストがたくさんいることでしょう。
日本とテキサスの時差はマイナス14時間。
朝のセッションなら日本時間深夜12時スタートですが、夕方セッションは午前4時半、夜セッションは午前9時半スタートと、平日はとくにライブ配信で聴くのがちょっと大変な時間帯でしょうか。
とはいえ、アーカイヴも順次公開されるはずですので(今回もオーケストラとの契約か何かの問題で、いずれかのコンチェルトはアーカイヴなしになるのかもしれませんが?)、素敵な演奏との出会いを楽しみにぜひチェックしてみてください。
ところで今回私はめずらしく、知り合いのジャーナリストの家の部屋を借りて、テキサスに滞在しています。このジャーナリストさんは、日本やインドにも長く駐在した経験がある人で、奥様はインドの人でした。
というわけで、この家には、ガネーシャのお面とかガンジーの置物とかインド映画のパネルとか、あちこちにインド的なものが飾ってあり、さらにはインド関係の本もずらーっと本棚に並んでいて、すごくわくわくします。
そしてこのジャーナリスト氏、そんなに日本語ができるわけではないんだけど、突然予想外のむずかしめの日本語を発する人なのですが(以前何かでも書きましたが、たとえば毎日15分歩いてホールに通っているといったら、「オー、”ヒザクリゲ” デスネ!」と言われた)、今回も、”八百長”とか”労働組合”とか、何とも言えない言葉をよく知ってるなぁと思いながら話を聞いています。
ただ、先日のマンチェスターでの自爆テロのニュースをみていて
「Suicideをなんていうっけ、ジサツ?」と聞かれたので、そうですよ、でも、とくにこういうテロのことを、”自爆テロ”というんだよと教えたら、「自分が70年代に日本の新聞社で仕事をしていたときにそのフレーズを使った覚えはないから、新しい言葉なのかな」といわれて、そうか…と思ってしまいました。この言葉が定着するようになってしまった時代が辛い。
というわけで、いよいよこちらの時間で明日の午後2:30から1次予選が開始。
ファイナルまで、こちらで見聞きしたいろいろなことをお伝えしたいと思います。