仙台国際音楽コンクールピアノ部門、ファイナル2日目まで終わりました。
セミファイナル、ファイナルと聴いてきて今なんとなく思うのは、やっぱり、
いろんな角度からその人に合った選曲をすることって大切なんだなということ。
ベートーヴェンの3番と4番どちらを選ぶかのときも感じていましたが、
やはり特にファイナルは、この少ないリハーサルで
2曲もの協奏曲を弾かねばならない状況とあって、
ますますそのあたりが重要になりそうですね。
憧れていた曲で想いの強い演奏をするというのも素敵だと思いますし、
演奏効果の高い曲を選ぶという考えも、やはりコンクールだからあると思います。
でもここ一番というときに、自分の魅力が最大限にアピールできる曲を
冷静に選べるということも、ピアニストとして大切なんでしょうね。
セルフプロデュース能力的な意味で。
例えばよくある、「先生に言われてこの曲を選んだ」という話を聞くと、
ふーん、そうなんだとつい思ってしまいがちですが、
特に若いピアニストの場合は自分を知る意味でも、それが得策なのかもしれませんね。
自分のことって意外と自分ではわからないこともありますからね。
何にでもいえることだと思いますが…と、突然自分についても反省しだす。
さて。
今日のトップはエヴァン・ウォンさん(アメリカ/1990年生まれ)。ピアノはカワイ。
演奏したのはモーツァルトのK.453。
サラサラとした繊細な音がオーケストラとなじんでいました。
彼に対して抱いていた勝手なイメージからするとちょっと意外な演奏でした。
そしてソロ演奏の部分になると表現がめいっぱい詩的に。
キム・ヒョンジュンさん(韓国)は、K.459。
スタインウェイのピアノで、生き生きした音を鳴らしていました。
いつものように、自らも口で歌っているだけあって、ピアノもなめらかな抑揚で歌っています。
どちらも、間違っても下ネタのジョークなど言いそうにない品のあるモーツァルトでありました。
そして後半は昨日に引き続き日本勢二人の登場です。
彼らはこれでいち早く全ての演奏を終えることになります。
(今回のような演奏順だと、
初日後半に弾いた2人だけ2曲のコンチェルトに中1日もらえるんですよね)
背筋を伸ばし堂々とした姿でステージに現れた坂本彩さん(日本/1989年生まれ)は
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏。
オーケストラと対等な掛け合いを繰り広げるべく、
勇ましさも感じる勢いでピアノに向き合い、華やかな演奏を繰り広げていました。
真っ赤なドレスが音楽に似合っています。
そして北端祥人さん(日本/1988年生まれ)は、ショパンのピアノ協奏曲第1番。
唯一の初期ロマン派さわやか系選曲です。
(そして、連日これを聴きまくったワルシャワの思い出がよみがえる…)
緊張感を持ってスタートしたショパンは、
落ち着いたリズム感とともに、穏やかに弾き進められます。
2010年の日本ショパンコンクールで3位になった時に演奏しているのは確かなので、
もう何年にもわたって弾いているレパートリーなのでしょうね。
それでもどこかフレッシュな雰囲気も保った繊細な演奏でした。
客席は、演奏が全部終わる前から拍手が起きるほど、大いに盛り上がってました。
仙台フィルさんも、そろそろお疲れがピークの頃でしょうか。
新しい課題曲体制で、先月のヴァイオリン部門から1ヵ月、本当に大変だったと思います。
そんなコンクールも今日で最終日。夜には結果が発表されます。