仙台コンクールピアノ部門、ファイナル1日目


仙台国際音楽コンクールピアノ部門、ファイナルが始まりました。

今回、ファイナルでは2曲のピアノ協奏曲を演奏します。
(前回までは2曲を用意しておいて、直前に決まった1曲を演奏するという、
“ファイナルまで進んでも、用意してきた曲を絶対に全部弾けない”ルールだったのですが。)
1曲目の課題は、モーツァルトのピアノ協奏曲から第15番~第19番という、
作曲家が1784年にウィーンで書いた6曲中の5曲から選択します。
超有名どころの曲ではなく、ちょっとシブめの選択肢。
それにしても1年でこれだけの曲を書くって(ピアノ協奏曲以外も書いているわけだし)、
改めてモーツァルトすごい。

もう1曲は、指定されたロマン派~近代の16の協奏曲から選びます。
曲のタイプはもちろん、演奏時間もさまざま。
コンクールのファイナルでよく起きることですが、
例えばブラームスのピアノ協奏曲(約50分)と、
リストのピアノ協奏曲やラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(約20分)では、
倍以上の長さの違いがあるわけで。
ちなみに今回最終日は、そんな短長の2曲が揃っています。
(課題曲については以前公式サイトのコラムでも紹介しています)

ヴァイオリン部門では各人が2曲続けて演奏する形でしたが、
ピアノ部門はそれだと大変だということで(ピアノの方がソリストは大変なんでしょうかね?)、
別日に1曲ずつ演奏するスケジュールになっています。
各日、前半に2曲モーツァルが、後半に2曲自由なコンチェルトが弾かれます。
ちなみに演奏順はここで抽選し直し。
セミファイナルからファイナルまで3日間の空き日がある日程ならでは。

FullSizeRender2
さて、初日です。
セミファイナル、ファイナルと実際に聴いてみて、
ベートーヴェンとモーツァルト、両方のコンチェルトを見事に弾くって、
さりげなくものすごく大変なことが要求されているよねと改めて…。

演奏順、最初に日本人二人が続けて演奏するという形になりました。
二人とも、ピアノはスタインウェイ。
坂本彩さん(日本/1989年生まれ)はモーツァルトの第18番K.456を演奏。
ベートーヴェンのときも力強い音にインパクトがありましたが、
モーツァルトでも地に足のついた安定感のある感じ。
弾いていない左手で曲の雰囲気を感じながら演奏している姿も印象に残りました。
北端祥人さん(日本/1988年生まれ)は第19番K.459。
これは6人中3人が選んでいる作品です。
軽やかなやわらかい音が、オーケストラの音と自然とコントラストをつくって、
なんだかモーツァルト的かわいらしさ。清々しい演奏でした。
どの曲を選ぶかで、印象にけっこうな違いが生じますね。

と、そんな曲が続いたあとで、後半ズドンズドンとラフマニノフ2曲。
感覚を切り替えて聴かないと、一瞬混乱(?)します。
まずは最年少シャオユー・リュウさん(カナダ/1997年生まれ)の
「パガニーニの主題による狂詩曲」。ピアノはヤマハです。
パワーも充分、キラリン音もばっちり。
各変奏の表情ごとに、ご本人のまわりに灰色やらパステルカラーやら
いろんな色が、もわーんと発生するようでした。

ところでラフマニノフのパガ狂の第18変奏を聴いていると、
以前、小曽根真さんがおっしゃっていた話を思い出します。
“あの変奏が始まった瞬間に、キタキタ~オレの見せ場!と
冒頭からメロメロに弾くピアニストは、オーケストラから嫌われると思う。
そのあと管弦楽でクライマックスが訪れるのに、空気読めてないみたい”
…的なご意見。さすがいつもご自分のビッグバンドと
即興の掛け合いを繰り広げているジャズ・ミュージシャンだなと思ったわけですが。
この話を聞いて以来、「そういう演奏」を聴くと、ぷぷぷ、と思ってしまうわけですが、
この日のシャオユーさんは見事に空気(というか曲の流れ)読んでましたね。

そして、最後はシン・ツァンヨンさん(韓国/1994年生まれ)のラフマニノフの2番。
ピアノはスタインウェイ。
聴かせどころをひとつひとつばっちりキメてくる演奏。音もズドンとまっすぐ飛んできます。
2楽章はかなりゆったりめ。一方の3楽章はワイルドな感じで、
セミファイナルの時にも感じた自由で感情豊かなキャラクターが発揮されていました。

さて、ファイナル2日目には、再び日本人の2人が登場します。
坂本さんはラフマニノフの2番、北端さんはショパンの1番。
どんな演奏になるでしょうか。

※ファイナルの演奏、アーカイヴはこちらから聴くことができます。