ザキール・フセインさんのタブラ協奏曲


ムンバイに再び戻ったあとは、シンフォニー・オーケストラ・オブ・インディアの春シーズン定期公演を聴いてきました。お目当ては、タブラ奏者のザキール・フセインさん作曲によるタブラ協奏曲「ペシュカール」。

開演前、ホワイエを見渡すとたくさんの人が飲んでいた、冷たいミルクコーヒー。サモサとのセットで100ルピー(150円くらい?)という、コンサートホールなのにそこらへんのカフェより断然お安い値段で購入できて、しかも辛いと甘いでおいしい。ムンバイ のジャムシェッド・ババ・シアターでコンサートを聴く機会があったらぜひ試してみてください。甘辛のコンビネーションに夢中すぎて、写真は撮り忘れました。

ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」がおわると、台がセッティングされて、タブラを持ったザキールさんが登場。
タブラソロに始まって、ティンパニ、低弦、ファーストヴァイオリンがインドらしい旋律をつぎつぎ受け渡していきます。西洋の語法の中で音楽を育んできた人では書かないだろう旋律がからみあう。怒涛のタブラの音の波、管との掛け合いがかっこいい。

演奏後は、客席総立ちでした。さすがスーパースタータブラ奏者。みんな大好き。
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日本でもこの曲を公演できたらいいのに…。

どうですか、指揮者のみなさん、そして日本のオーケストラ関係者のみなさん!!
ちなみにこちらは2015年の演奏の動画です。

私がインド古典音楽を生で聴く経験はまだまだ全然浅いのですが、それでもザキールさんの演奏は、技術はもちろん、音がすごく特別なんだなということがわかります。
先日、ザキールさんのお弟子さんであるユザーン氏のプチ解説を聞く中で、その音作りの精神のお話がちらりと出て、他のインドの有名タブラ奏者とザキールさんの音の印象が違うように思うのはそういうわけか…と納得しました。

SOI全体の演奏に関しては、やはり、海外のオーケストラで活動する外国人臨時メンバーばかりだけに、個々の技術は一定レベル以上で普通にうまい。いつも一緒に演奏していないからアンサンブルの面が少し大変そうですが、スケールの大きな演奏が特徴です。

ところでちょっと関係ないですけど、ユザーン氏と環ROYさん、鎮座DOPENESSさんが最近発表したこの曲とミュージックビデオ。

音もかっこよく、なんだか(いい意味で)様子がおかしくて笑っちゃうと同時に、インド古典音楽、そしてそのほかの音楽の歴史も知ることができて、とても素敵です。なんなんでしょうこのセンス。いい仕事してますね…。

そしてこのユザーン氏と、サントゥール奏者の新井孝弘氏による、毎年恒例、インド古典音楽のツアー、今年も開催されるそうです。新井くんは、今年ムンバイであったら、またしっとりとインド人度が増していました。いつか本当にインド人になってしまうかもしれません。
二人が発するインドの匂いを嗅ぎたい方は、お近くの会場でぜひご体験ください。

公演スケジュールは、こちら。

(最後はインドでいつもお世話になるお二人のコンサートのお知らせでした。)