テクノ、ゴルドベルク、トリスターノ


今度の金曜日、6月30日にハクジュホールで行われる
フランチェスコ・トリスターノの「アコースティック・テクノ アンプラグド・ライブ」、まだ少しチケットが残っていると聞きまして。少しでも興味があって未体験の方は、ぜひ聴いてみてほしいなと思い、突然に記事をアップ。

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(今にもピアノの中にのしのし侵入してきそうなこのお姿)

フランチェスコ・トリスターノについて、私が改めてこの人すごいと思ったのは、5年前、ヤマハホールでの演奏会を聴いたときのこと。
前半にはフレスコバルディやスカルラッティなどバロック期の作品を、後半ではヤマハの機材を駆使して「ピアノとエレクトロニクスによる」作品を披露する公演でした。
もちろんトリスターノさんのクラシック作品の演奏は優れていて、それまでにもその感性に目を開かれる思いをすることはありました。
とはいえ、純粋にそういう作品の解釈の面で優れた演奏に出会う機会は、いってしまえば(これだけコンサートに通っていれば)他にもある。
が、しかし!
私はテクノ関係に詳しいわけではありませんが(とはいえそういう音楽に全くなじみがないわけでもありませんが)、初めてトリスターノのテクノより作品の音を聴いたとき、この人の音を操作する(混ぜ合わせる)センスは本当にずば抜けているのだろうなと、感覚的に理解したわけです。
しかも良かったのは、これをヤマハホールというクラシック音響の環境で聞いたこと。響きがデッドなクラブハウスなどと違い、(こういう言い方するとアレかもしれませんが)音圧ゴリゴリの音ということもなく、ふだんクラシックの音量、音質に慣れている耳でも心地よく受け入れることができる音で、きめ細やかなテクノ音楽を満喫できる、そんな演奏会だったのです(いまどんどん人気を高めている「ポスト・クラシカル」のサウンドもこういう部類のものなのでしょうか)。

というわけで、今回彼がハクジュホールで「アコースティック・テクノ アンプラグド・ライブ」をやると聞いたときは、これはキタ!と興奮いたしました。あの目の開かれる思いを、5年ぶりに再び味わうことができる!

その後、何度かインタビューでお話を聞く機会もあり、このピアニストの頭の中に渦巻くもの、そしてあのシュッとした雰囲気とギャップがありすぎる「ほんわかラーメン好きキャラ」にも関心が募っているところです。
(ほんとうに、話を聞いていると、ラーメンへの執着がハンパないのよ…)

まだチケットがあるということで、みなさまぜひ一度ご体験ください。もちろん、どんな演奏会になるのか予想がつくようなものではないので、思ってたのと違うかもしれませんが、その辺はご容赦ください…。
ちょっと遅めの20時開演です。

一方、今回の来日ツアーではゴルドベルクも弾くんですよね。
ゴルドベルクはトリスターノさんがデビューアルバムで収録し、長らく取り組んでいる作品だということですが、多分普通じゃないアプローチで聴かせてくれるものと思います。
さらに後半にはヴァージナル作品や自作曲なども演奏するという。この組み合わせで聴くことで発見があるはず…。
この夏は、8月にすみだトリフォニーでピーター・ゼルキンとキット・アームストロングもゴルドベルクを弾きます。この偶然のゴルドベルクブームにのって、一気にゴルドベルクの現在を知ることができそうだな、などと思っているところ。

トリスターノのゴルドベルクが聴けるのは、
7月9日(日)三鷹市芸術文化センター風のホールです
(演目についてのお話も公開されています!)