3月末にリリースされた實川風さんのデビューアルバム。
彼が去年3位に入賞したロン=ティボー=クレスバンコンクールの演目を中心に収録し、
ピアノは曲に合わせてスタインウェイとベーゼンの2台使いという、個性的な1枚です。
かなり前になりますが、3月にリリース記念リサイタルをヤマハホールに聴きにいったところ、
その1年半くらい前、2014年の夏に聴いたときからかなり印象が変わっていて、驚きました。
表現の細やかさはそのままに、迫力がすごいことになっていた。
いつの間にかニュー實川が誕生したのね…と思いました。
演奏家ってこうやって変わっていくからおもしろいものです。
一見爽やかな正統派アプローチのピアニストですが、
多分ものすごい空想(妄想)の世界をお持ちなのではないかと思います。
中でも印象に残ったのが、デビュー盤にも収録されている、
コンクール課題曲だったヌーブルジェの「メリーゴーランドの光」。
このヤマハホール公演で初めて生で聴きましたが、
いろんな色や質感のモノが次々目の前にうかぶようで、とてもおもしろかったです。
その日、実は私は仙台がえりでそのまま演奏会に行っていて、
日中、東北大学自然史博物館で世界のいろいろな鉱物を見せてもらっていたのですが、
演奏を聴きながら、昼間に見た神秘的な個体たちの姿を思い出してしまいました。
それくらい、とにかくいろいろな質感の音が鳴らされていた。
あの曲聴きながら鉱物のこと考えてるヤツなんて、
自分だけかもしれないなとも思いましたが。
そんな「メリーゴーランドの光」を生で聴ける演奏会。
今週末、6月4日(土)、渋谷の文化総合センター大和田さくらホールです。
(チケットまだあるのかな?)
ところで、實川さんについて最初に「あれっ?」と思ったのは、
去年、別の媒体で立て続けにインタビューをした、2回目の取材を終えたときのこと。
具体的に何がというわけではないのですが、
こちらが何か言ったときのリアクションが不思議というか、
えっ、そこにひっかかるんだ…へぇ…?という感じがして、
この方は、もしや爽やかさんの皮をかぶった変わり者なのではないかと…。
その後始まったヤマハPianist Loungeでの連載を見て、その思いは確信に変わりました。
まぁ、読んでいただけばわかると思います。
ヤマハPianist Lounge 「實川風 どこ吹く風パートII」
この連載のタイトル、あるとき急に気が付いて、
實川さんに、「もしかしてこれ、どこ吹く“かおる”って読むんですか?」と聞いたら、
「それじゃ、さすがに自意識過剰ですよ~」と言われました。
どこ吹く”かぜ”、であってるそうです。
ところで私は實川さんのことを、心の中で「じっちゃん」と呼んでいます。
学生時代の先輩に實川さんという男性がいて、「じっちゃん」と呼ばれていたからです。
その先輩は「じっちゃん」という呼び名が似合う人だったので良かったけれど、
こっちの實川さんの場合はどうなんだろう…と思いましたが、
そのことを話したら、実際に實川さんもじっちゃんと呼ばれていたそうなので、安心しました。
あだ名じっちゃんは、「實川サンあるある」なんですね。
ちなみに当時、戸谷さんという女性の先輩が「とっつぁん」と呼ばれていたのは、
今思えばさすがにすごいなと、全然関係ないのに急に思い出しました。
話がかなり脱線しましたが、
實川さんの「どこ吹く風」パートI はどこにあるのかというと、
公式ブログのほうが元祖ということのようです。
演奏会情報なども公式ホームページと併せて紹介されるっぽいですので、
チェックしてみてください。