小林愛実さんリサイタル&情熱大陸


小林愛実さんのオール・ショパン・プログラムによる
リサイタルが行われるようです。
しかも紀尾井ホールという素敵アコースティック空間!

2015年12月10日 (木) 19:00 紀尾井ホール

【ショパン・プログラム】
ロンド 変ホ長調 op.16
プレリュード 嬰ハ短調 op.45
ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.35 「葬送」
舟歌 嬰へ長調 op.60
ノクターン 嬰ハ短調op.27-1
エチュード ホ短調 op.25-5
エチュード イ短調 op.25-11「木枯らし」
バラード第1番 ト短調 op.23
ポロネーズ第6番 変イ長調 op.53「英雄ポロネーズ」

小林愛実さん、今回のショパンコンクールでは惜しくも入賞は逃しましたが、
ワルシャワでの聴衆からの人気も高く、
ファイナルの堂々としたコンチェルトの後は会場を大きく湧かせていました。
指揮者のカスプシェックさんにもインタビューをしたのですが、
彼女は才能がありプロフェッショナルだと、印象に残ったソリストとして名前を挙げていました。

結果発表のあとは落ち込んだようですが、
その翌々日にゆっくりお話を聞いたときにはもう、
「これでまたいろいろ勉強する時間がとれると思って!」と、
前向きな考えを取り戻していて、強いな…と思いました。

私は彼女の演奏は、
CDデビューしたくらいの若いころのものを録音で聴いたことしかなかったので、
今回、大人になった彼女の演奏を生で聴く機会を持てたこと、
それからあの明るく強いキャラに接することができたことは、
ちょっと変な言い方かもしれませんが…大きな収穫でした。
一音インパクトな生音、音楽を大きくとらえた気風のいい表現。
日本にも、こういう子がいるんだなぁと…。
あの緊張の中、それをドーンと出せるところなど、
さすが子供の頃から大舞台を踏んでいるだけあります。

ところで以前ツイッターかなにかで、
愛実さんのマズルカを聞いた後となりのポーランド人評論家氏が
「ボクは彼女が誰に習ったかすぐわかったぞ!審査員の中の誰かだ!」
と言ったことを紹介しましたが、その後、愛実さんご本人に聞いたら、
「え、誰ー!?誰にも習ってないんだけど!」と言っていました。…うける。
いずれにしても、弾き始める前からクイクイッとマズルカのリズムをとって
演奏に入るあの感じは、とても印象に残っています。天然で体得したのか。

ところで、思い起こせば9月の中旬ごろ、
兵庫芸術文化センター管弦楽団の定期公演のソリストをつとめた彼女と、
リハーサル日の楽屋で初めてお会いしていました。
たまたま、打ち合わせで兵芸に行っておりまして。

もうすぐショパンコンクールが始まるというのに
ベートーヴェンの協奏曲の本番(しかも初めて演奏する曲)で、大変そうでしたが、
それも見事にこなし、同PACとのツアー3公演でショパンの協奏曲を弾いてからの
ワルシャワ入りだったようです。

この時を思い起こして感じるのは、それから約1か月半後、
ショパンコンクールの全ステージを終えたあとになったら、
彼女のショパンやショパンコンクールについて話すことがぐっと変化したということ。
準備の期間も含めて、どんどんショパンを知っていったと言いますが、
コンクール中、ワルシャワの空気を吸い、練習の前に聖十字架教会に通い、
ショパンのことを毎日考え、あのステージに立つうち、
どんどん心境が変化していったようです。
審査員の海老彰子さんも、4月の予備予選のときはちょっと心配だったけど、
秋になったらぐっとショパンらしい演奏をするようになって
驚いたとおっしゃっていました。
ショパンコンクールに出るという経験がピアニストに与える影響はすごいんですね。
それは、結果を超越した意味で。

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さて、そんな小林愛実さんのコンクール挑戦の様子が、
11月8日(日)23時放送の「情熱大陸」(TBS系)で放送されるそうです。
コンクールのライブ配信では、
背中をバシィっと叩かれてステージに出ていく様子が見られたと思いますが、
これを叩いていたのはこの番組の方だったそうです。
「いつも、そのときいる人に叩いてもらっていて、
強く叩いてもらわないと意味がないんだけど、今回は特に強かった」とは、
愛実さんの談。
どんな番組になっているのか楽しみです!