ファイナルが始まりました


セミファイナルを振り返るチャンスを逃したまま、あっという間にファイナルが始まってしまいました。
10名のファイナリストと演奏日程は、以下の通り。

10月18日
Mr Seong-Jin Cho (South Korea)
Mr Aljoša Jurinić (Croatia)
Ms Aimi Kobayashi (Japan)
Ms Kate Liu (United States)

10月19日
Mr Eric Lu (United States)
Mr Szymon Nehring (Poland)
Mr Georgijs Osokins (Latvia)

10月20日
Mr Charles Richard-Hamelin (Canada)
Mr Dmitry Shishkin (Russia)
Mr Yike (Tony) Yang (Canada)

ファイナルでは、ヤツェク・カスプシク指揮ワルシャワフィルとの共演で、ショパンのピアノ協奏曲第1番または第2番を演奏します。かつての優勝者のほとんどが第1番を演奏していることが知られていますが、今回、10人中第2番を選んでいるのは、最終日の登場するアムランさんのみです。

昨日、チョ・ソンジン君の演奏でファイナルがスタートしました。
私が聴いて来た過去2回のショパンコンクール、指揮者はいずれもアントニ・ヴィットさんだったのですが、カスプシクさんのショパンはやわらかくあたたかく優しい印象。わりとご自分の好みがはっきりしていて厳格というイメージだったヴィットさんの時と違って、カスプシクさんは「ソリストが好きなようにやらせて、それを一生懸命ウォッチングしながらオーケストラを合わせていく」という感じ。
この日の4人の演奏でも、指揮者が彼でなかったらどうなっていたことだろう…という場面がけっこうあったような。

チョ君は、持ち前の明るい音でとてもさわやかなショパンを聴かせてくれました。会場の1階で聴いていて、少しオーケストラの音に埋もれて聴こえる部分もあったのが気になりますが、2階正面だともう少しいいのかも。

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終演後のチョ君。たくさんのカメラに囲まれていましたが、こちらから、ステージでの気分はどうだったと声をかけると、わざわざレコーダーに顔を近づけて、日本語で「ヨカッタ」といいました。
(前にもこういうことがあった気がしますが、「麒麟です」みたいだなと思いました。)
今回のコンクール中、初めて自分で満足いく演奏ができたそうで、とても嬉しそうでした。
4ステージ終えてショパンへの愛や情熱は変わった?と尋ねたところ、変わらない、ずっと大きなままだよと言っていました。

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続くアリョーシャ・ユリニチ君は、ヤマハのピアノからボリューミーな音を出し、自由なショパンを演奏。それにあわせてオーケストラもボリューミーな感じ。
近くで見て、ずいぶんキラキラした目で話す人だなぁと思いました。人柄って本当に演奏に出ますね。

そして小林愛実さん。オーケストラの長い前奏に続く、最初のつかみの音で例によってグッと心を掴み、生命力あふれる音楽を聴かせてくれました。客席もすごく盛り上がっていて、私がこれまでこのコンクールで見たフライング拍手のなかでもっともフライングな拍手が起こっていました。まあ、この日のお客さん全体的にフライングぎみでしたけど。
この写真は、結果発表の前のもの。コンチェルトの楽譜を抱えていました(写ってませんが)。
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ケイト・リウさんは、ファイナルでピアノをスタインウェイにチェンジ。しかし彼女の独特の打鍵は、どのピアノからも同じように豊かな音を鳴らします。細い体ながら、ものすごいテクニック。聴衆からも人気の彼女、一段と大きな喝采とスタンディングオベーションを受けていました。

さて、残るは6人のピアニストの協奏曲。
どんなショパンが聴けるでしょうか。