遺跡が似合う男、ロマノフスキー


ロマノフスキーの少々久しぶりの来日公演、今週末からスタートします。

1月17日の彩の国さいたま芸術劇場でのリサイタル、
1月21、22日のノセダ指揮N響との共演(ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲)、
そして1月23日の紀尾井ホールでのリサイタルと続きます(「公演によせて」書いてます)。

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来日に合わせて、新譜の日本盤もリリースされました。
収録されているのは、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第1番、第2番。
ライナー書かせていただいてます。
どこか遺跡的な場所で遠くを見つめるロマさま。
つくづく、遺跡とロングコートが似合う男です。
ブックレットの中には、
この遺跡風の場所の岩の上で物思いにふけるロマさまの姿が収められています。

欧文のタイトルは、「ロシアン・ファウスト」。
ソナタ1番が、当初、ゲーテのファウストからインスピレーションを受けて着手されたことに
由来しています。
これが、かなりいい演奏です。聴けば聴くほど、しみじみ良い。
ソナタの1番など、ところどころ涙出そうになります。

私がロマさまの生演奏を初めて聴いたのは
2011年のチャイコフスキーコンクールのときでしたが、
あのとき本選で弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第3番も、
聴いているうち、微笑みながらも涙が出てきて「もお、やめてよ~」と言いたくなる
幸せだけどなぜか哀しい、すばらしい演奏でした(言葉でうまく説明できない、この感覚)。
この録音からもそれに近いものを感じます。
やはりこの方とラフマニノフは、何か深いところで通じるものがあるのでしょう。

N響との共演ではラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲を演奏してくれますから、
かなり楽しみですね。しかも指揮はノセダさん!
先にガヴリリュクがソリストで出演した定期公演も、すばらしかったです。

一方、これだけロマさまのラフマニノフを押しておきながら、
リサイタルプログラムにはラフマニノフが入っていないんですけど、心配はご無用!
ベートーヴェンのソナタ14番「月光」、30番、
そして後半はピアノ・ソナタ第2番を含むショパンづくしと、相当濃い内容です。
とくに「月光」は前回の来日リサイタルでも演奏しているんですよね。
一体ロマさまはなぜこんなにも執拗にこの作品にこだわるのか…
演奏を聴いてみれば、わかるかもしれない。
とにかく、楽しみな公演です。