インド人チェリストが祖国に作った素敵な学校に行ってきた

ここまでのインドのいろいろを、少しずつ紹介したいと思います。

到着した日に向かったのはタージマハルホテル。チャローインディアというインド料理探訪プロジェクトのため来印中の東京スパイス番長のみなさんがお食事中ということで、水野さんを訪ねて合流です。
今年のテーマはアチャール(インドのお漬物的なもの)らしいので、成果を見るのが楽しみ。アチャールって本当においしいですよね。梅干し好きの私としては、インド料理においてなくてはならぬ付け合わせ。

タージマハルホテルといえば、11年前に大規模なテロがあった場所です。あれ以来、セキュリティチェックがとても厳しい。
そしてロビーには、1852年から1872年の間に作られたというスタインウェイのピアノがあって、インド人ピアニストのおじさんがポロポロ弾いてました。植民地時代の置き土産的な存在。
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インドではたまにこういうアンティークのピアノに出会います。去年もコルカタでシタール奏者のインドの方のお宅にお邪魔したら、家にベーゼンドルファーのグランドピアノがあると言われてびっくりしました。(しかも、その方自身は弾けないらしい)

翌日は早速コルカタに移動。

浜松コンクールでお世話になった、ピアニストの小川典子さんにご紹介いただいた、ロンドン在住インド人チェリストのアヌープ・クマール・ビスワス氏が、故郷のコルカタに作ったMatheison schoolを見学してきました。

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犬が寝てますし、牛もいます。

牛は飼ってるのかと思ったら、学校のまわりに柵がないからどっかの家からいつも入ってくるらしい。

そもそもどうしてこの学校に行くことになったのかというと。
ある日小川さんがツイッターで突然(?)、「友人のチェリストのパーティの様子」といって写真を送ってきてくれまして。
見たら、どう考えてもインドのパンジャービーダンスの様子なんですよ。
お友達は、インド人ってことですか?と尋ねたところ、そうであると。
(最初は、インドにどハマりしているイギリス人のパーティなのかと思って、小川さんには変わったお友達がいるもんだなと思ってしまいました、すみません)

さて、こちらのインド人チェリスト、ビスワスさんは、コルカタの貧しい家に生まれました。しかしその瞳の輝きに何かを感じたイギリス人の神父さんが、教会の学校で彼にチェロを教え、ロンドンに留学させたのだそう。

さて、学校について。

学校には、そのイギリス人神父さんの名前が付けられています。全てが無料の全寮制、貧困層の中でも特別に貧しい家庭の子供のみ入学可能。教会を通じて入学の希望者がいると聞くと、家庭に面談にいって、本当に貧しいのかを確認するんだって。

草原の中にポツンと小さな建物があるところからスタートして25年。基本的にビスワスさんが私財をつぎ込んで作ったもので、多くの困難を乗り越えてここまでになった努力の結晶だそうです。
今は50人ほどが勉強しています。現在校舎を増設中で、もっと多くの子供を受け入れられるようにしていくつもりとのこと。すごいぞビスワスさん!

学校の生徒たちはみんな弦楽器を習っています。

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訪ねた日、スクールコンサートを開いて、子供たちのオーケストラの演奏を聴かせてくれました。全員音を真剣に鳴らしている感じが伝わってくる、良いオーケストラ。インドのコルカタにこういう子供たちが育っていたとはとびっくりしました。

ビスワスさんは、神父さんから受け取ったものを今度は自分が次の世代に与えていく番だと、活動を続けているようです。

これまで私もいろいろなプロジェクトのことでインドのお金持ちさんに接してきましたが、あまり私財を投じてこういう活動をしようという人はいないんですよね…国民性なのか、宗教上の感覚なのか。ビスワスさんは、お電話で話した明るくグイグイ来る感じこそさすがベンガル人の人だなーと思いましたが、活動を知るほど、なんてすばらしい方なのだ!と思ってしまいました。

生徒たちはナチュラルに礼儀正しく、明るくどこか控えめで、すごくいい。

子供達の集合写真を撮ろうとしていたたら、犬がグイグイ来ました。
このあと彼は、しっかり集合写真に一緒におさまっていました。

ちなみにこの日ビスワスさんはもうロンドンに帰っていてご不在。後日詳しくご本人にお話を聞くことになっています。楽しみだ。