「シーモアさんと、大人のための人生入門」を観てきた


まだ公開前ですが、クラシック音楽好き界隈で少し話題になっているらしい、
映画「シーモアさんと、大人のための人生入門」の試写会を観てきました。

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イーサン・ホークが撮った89歳のピアノ教師のドキュメンタリー。
俳優として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークが、
シーモアさんと出会ったことで、多くのことに気がついた経験から、
このドキュメンタリーを撮ることを考えたのだそう。

シーモア・バーンスタインさんの経歴を見ると、
若き日にナディア・ブーランジェやジョルジュ・エネスクに師事してきたとあります。
朝鮮戦争中、兵役についていた記憶も彼のなかでは大きなものだともありました。
往年の大音楽家から優れた教育をうけ、同時に複雑な人生を送ってきた人。
50歳で突然演奏活動を引退し、その後は教えることに力を注いできたそうです。
素敵な感じのおだやかーなおじいちゃん。昔はイケイケだったこともあったのでしょうけど。

映画を見て感じたのは、シーモアさんは、ピアノを弾いていて
幸せだと思える自分であることを大切に人生の選択を行ってきたのだということ。
自分が情熱を傾けてやっていたはずなのに、夢中になりすぎるあまり、
気づいたときに目的がずれて、幸せを感じなくなっている。
これはどんな分野でも、誰にでも起こり得ることかもしれません。
芸術家はじめ、夢と仕事が重なっている人にとってはとくにそれが起こりやすいかも。
そんなとき、どんな考え方があるか、
その選択肢の一つを提示してくれる映画なのかなと思いました。
今悩んでいる人もそうでない人も、
一度自分が道に迷っていないか見直すきっかけになる映画かもしれないなーと。

でも、答えを見つけるのはあくまで自分ですよ、という感じの映画でもある。
最後に出てくる一言が、シーモアじいさんにとって
音楽人生において幸せがどこにあったのかを、端的に物語っていると思いました。

映画の中で出てくる演奏にはとても味があって、聴き入ってしまう。
でもしゃべってる言葉も聴きたいし、さらに字幕が出ると見ちゃうしで、
いろいろ大忙しです。何回か見たら消化できるかも?

9月下旬からシネスイッチ銀座、渋谷アップリンクほか、全国順次ロードショーです。
http://www.uplink.co.jp/seymour/