以前、シューベルトを取り上げるリサイタルについてのインタビューで、
ピアニストのアオヤギ氏が、
「昔学生のころ、友達が、シューベルトを弾きたくなると
死期が近いらしいよっていってたんですよねー」とおっしゃっていました。
私も昨年あたりから、
やたらめったらシューベルトの音楽を“集中して”聴くことが好きになってきて
(ふわっと聴くのは昔から好きだったけど、なにか人生の謎の答えを
見つけようとしながら聴きいるというか、我ながら少しヤバそうな感じの聴き方)、
思いがけず、実はもう晩年を迎えているのかもとビクッとするときがあります。
小山実稚恵さんの最新のシューベルトのアルバム。
優しくて、大切に演奏されていて、とてもすばらしい録音です。
ああ、なんて美しいんだろうと思って聴いていて、
ふと気が付いたら、なんかもう、
あの世に行ったら楽なんだろうなみたいな気分になっていて、
うわ!あぶなーい!まだまだ、戻ってきて自分!というような、
そんな気持ちになります。
なかなか、意味のわからない感じの説明ですみません。
でも、この何とも言えない気分にさせられるのがまた心地よく。
辛いような、幸せなような、整理のつかない気持ちになるのです。
このアルバムの件で、先日小山さんにインタビューをさせていただきました。
現在発売中のCDジャーナルに掲載されています。
小山さんのシューベルトを聴いて感じたその複雑な心境について、
直接、小山さんに尋ねてみました。
どうしてあの音楽を聴くとそんな気持ちにさせられるのか、答えが知りたかった。
すると、小山さん、
「わかるわぁ~。本当に、こんな音楽、他にないのよねぇ~。
なんだろう、もうあの、優しいツブツブがあるところとか。
不安のシャリシャリがあるところとか。なんだか本当にいいわよねぇ」
…ああ、すごく気持ちがわかるし、何のことを言っていのかもわかる。
だけど、おっしゃっていることは私以上に謎に包まれている…!
そんな小山さんが大好きです。
優しくて、お話しぶりはふわふわしているんだけれど、内容には芯が通っている感じ。
今年はデビュー30周年ということで、
ここまでのご活動を振り返っての今のお気持ち、
また、今新たに東日本大震災の被災地のために始めるプロジェクトなどについても、
語ってくださいました。インタビュー記事、ぜひ、ご覧ください。