小山実稚恵さんのシューベルト

以前、シューベルトを取り上げるリサイタルについてのインタビューで、
ピアニストのアオヤギ氏が、
「昔学生のころ、友達が、シューベルトを弾きたくなると
死期が近いらしいよっていってたんですよねー」とおっしゃっていました。

私も昨年あたりから、
やたらめったらシューベルトの音楽を“集中して”聴くことが好きになってきて
(ふわっと聴くのは昔から好きだったけど、なにか人生の謎の答えを
見つけようとしながら聴きいるというか、我ながら少しヤバそうな感じの聴き方)、
思いがけず、実はもう晩年を迎えているのかもとビクッとするときがあります。

小山実稚恵さんの最新のシューベルトのアルバム
優しくて、大切に演奏されていて、とてもすばらしい録音です。
ああ、なんて美しいんだろうと思って聴いていて、
ふと気が付いたら、なんかもう、
あの世に行ったら楽なんだろうなみたいな気分になっていて、
うわ!あぶなーい!まだまだ、戻ってきて自分!というような、
そんな気持ちになります。
なかなか、意味のわからない感じの説明ですみません。
でも、この何とも言えない気分にさせられるのがまた心地よく。
辛いような、幸せなような、整理のつかない気持ちになるのです。

このアルバムの件で、先日小山さんにインタビューをさせていただきました。
現在発売中のCDジャーナルに掲載されています。
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小山さんのシューベルトを聴いて感じたその複雑な心境について、
直接、小山さんに尋ねてみました。
どうしてあの音楽を聴くとそんな気持ちにさせられるのか、答えが知りたかった。

すると、小山さん、
「わかるわぁ~。本当に、こんな音楽、他にないのよねぇ~。
なんだろう、もうあの、優しいツブツブがあるところとか。
不安のシャリシャリがあるところとか。なんだか本当にいいわよねぇ」

…ああ、すごく気持ちがわかるし、何のことを言っていのかもわかる。
だけど、おっしゃっていることは私以上に謎に包まれている…!

そんな小山さんが大好きです。
優しくて、お話しぶりはふわふわしているんだけれど、内容には芯が通っている感じ。

今年はデビュー30周年ということで、
ここまでのご活動を振り返っての今のお気持ち、
また、今新たに東日本大震災の被災地のために始めるプロジェクトなどについても、
語ってくださいました。インタビュー記事、ぜひ、ご覧ください。

 

新井×ユザーン五反田G-Call公演、予約受付終了しました

新井孝弘×ユザーン「インド古典音楽ライブ」も、
ムンバイ行きっぱなし新井くんが帰国する春に開催するようになって、今年で4年目。
この季節の2人のツアーもだいぶ定着してきたようで、
4月23日の五反田・G-Callクラブサロン公演は満席につき、予約受付終了となりました。
すでにふたりの全国ツアーは始まっています。
各地でたくさんの公演がありますので、お近くの会場を探してみてください。

ヨルタモリ効果でユザーン君の一般からの認知度がますますあがり、
「今度新井君とユザーン君という人のインド音楽ライブをやるんだけど…」
という話題からの、どうも話がかみ合わないと思ったら1名インド人だと思われてる、
というめんどくさいパターンもめっきり減少しました。
当日は混雑が予想されますので、ご了承のほどよろしくお願いします。

すでにご予約のみなさま、当日はG-Callクラブサロンという素敵な空間で、
お飲みのもの持ち込み自由、アットホームな雰囲気で楽しんでいただくこととなると思います。
(インドっぽい気配皆無の洗練されたサロンです。
このサロンでは普段から、クラシック、ジャズ、落語、おいしい食材の試食会など
かなりいろいろな催しをしていますので、チェックしてみてください。
扱っているお取り寄せ食材のクオリティも、相当高いです)

また、椅子席の他に、ステージまわりにはマット的なものを敷いて、
床に座る形でご覧いただけるエリアも設ける予定でおります。
あまり気の効いたマットが用意できなさそうなので、
床席エリアご希望でおしりのコンディションが気になる方は、座布団などお持ちください。

当日は、新井くんがムンバイから持って来てくれたインドならではのおみやげ、
「甘くないマンゴーの飴」を先着約100名さまにお配りする予定です。
新井君においしいのか尋ねたところ、「甘酸っぱい感じの味」とのことで、
おいしいという明確な答えはありませんでしたが、ぜひお楽しみに。

ところで、本当はコンサートの宣伝のためにムンバイで撮影した
新井君、公演に寄せてのコメントを、今更ながらアップしました。
うっかりしていたら満席になってしまいましたが、
ユザーン君との共演に寄せての想いなど意外と真剣に語っていますので、
ぜひご覧ください。
後ろにぶら下がっているズボンをどけたほうがいいよとアドバイスしなかったことを、
心から後悔しています。

お医者さんの思い出、そして上杉春雄サロンコンサートの話

子供のころから通っていた皮膚科のおじいちゃん先生がめちゃくちゃ怖かったので、
今も皮膚科で診てもらう時は、必要以上におびえます。
例えば「治った」という言葉をうかつに使うと、即刻怒られる。
(このまえの薬[ステロイド入り]を塗ったら治ったんですが…と言うと、
「そんなのは治ったって言わない!勘違いされちゃこまるんだよ!」と叱られる)
アトピーっぽいところがカサカサするので保湿クリームをぬったなどと言おうものなら、
大馬鹿扱いです。
(肌が炎症起こしているところに余計なものしみこませてどうする!とのこと)
それでも地元では名医として知られていて、実際大変お世話になりました。
今の自分があるのは先生のおかげといっても過言ではない。(いや、過言かな)

大人になって、引っ越すたびに近くの病院に行くということが増え、
お医者さんていろんな人がいるなー、
しかし最近、余計な事をしゃべる先生って減ったのかなと感じていました。
病院で怒られることがあまりなくなりましたね。
昔はしょっちゅうあちこちでひどいこと言われてた。

で、先日、近所の初めての皮膚科にお世話になりました。
街の小さな診療所といった感じで、なんだか暇そうでした。
未だ皮膚科の先生を前におびえる癖はぬけず、
ものすごく言葉を選んで自分の症状を説明し、
できるだけ怒られないように、おそるおそる自らの日常習慣を伝えている自分。
しかしこの優しい先生は、わかるようなわからないようなたとえ話で、
アトピー的体質との付き合い方を説明してくれます。
「僕はよく患者さんに言うんだけど、アトピーの人ってのはね、
塗装の弱い外車みたいなもんなの。
丁寧にメンテナンスしないとすぐぼろぼろになっちゃう。
だからあなたね、自分が高級な外車だと思って、丁寧に皮膚の手入れしなさい」

はー、アトピー体質に自尊心を与えつつ、
がんばって気長にケアすれば大丈夫だと希望を与える作戦だな…。

なんだかいい声の先生で、暇そうなのに、ちょっと楽しそうでした。
あとでふと、この先生は患者との対話を楽しんでるんだろうなと思いました。
いろいろうんちく言いながら、自分の持ちネタがウケるのを見て喜んでる感じ。

それで思い出したのは、あの怖かった子供の頃の皮膚科の先生も、
不器用ながら、患者にちょっかい出して
リアクションを見るのを楽しんでいたんだろうなあということ。
まあ、いろんなお医者さんがいると思いますが、
みなさん患者の症状が良くなったらいいと思いながら、
いろいろな形で日々を過ごしているんですよね。
ブラームスの母がブラームへの手紙に書いている言葉に
「自分のためにばかり生きて、人のために生きない人たちは、半分しか生きていないのです」
というのがあって、なぜかすごく印象に残っているのですが、
医者という仕事を選ぶということは、
確実にある程度は人のために生きることになるわけですからね。
なんかすごい仕事だなと思います。
お友達のお医者さんとか、普段あんな感じなのに、本当はえらいんだよなと
心から思っています。

で、この話が何につながるかというと、
4月18日(土)、上杉春雄ピアノリサイタル@G-Callクラブサロンです!!
上杉さんといえば、かの有名な二足のわらじピアニスト。
普段は北海道で神経内科のお医者さんをしていらっしゃいます。
音楽と医療、ものすごい両極端な方法で他人になにかをもたらしている人です。
何度かインタビューなどさせていただいていますが、お話を聞き、演奏を聴くと、
医者であるということとピアニストであるということが、
相互に、見事に良い影響を与え合っているのだろうなとつくづく感じます。
(医者のほうにピアノが役立っている場面は、直接見たことはありませんが)

今回のプログラムは、バッハのゴルドベルク変奏曲です。
平均律の全曲演奏会シリーズなどもされている上杉さんのバッハには、定評があります。
サロンコンサートですから、おそらく、
脳みそフル回転でついていくと
ものすごい発見がもたらされるすばらしいトークも聞けると思いますので、
来週土曜日の午後は、ぜひ会場に!