「kotoba」秋号、メータと日本の楽器メーカーの奮闘のお話


先日発売された、集英社インターナショナル「kotoba」秋号。
インド社会の現状を西洋クラシックの受容の観点から読み解くという連載、第3回の記事が掲載されています。

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(表紙は、湿板写真で撮影されたビートたけしさん)

今回は、前半で、ズービン・メータの生い立ちと、彼が育ったムンバイの音楽事情について、後半では、キーボード流行の立役者、カシオの奮闘、
そしてヤマハの、インド人オレ流調律師との戦いなどについて紹介しています。

「インドはオペラを歌う」西洋クラシック音楽で大国を読む
第3回 インド市場、チャンスと困難が交錯する場所
・ズービン・メータと、父メーリ・メータ
・ムンバイにある、インド唯一のプロオーケストラ
・インド人の好みはインド人に聞け…カシオの戦略
・ヤマハの奮闘と、アコースティックピアノ市場
・インドの調律師問題

ムンバイでコンサートビジネスを行うことの難しさについて、メータ財団のマダムに語っていただいたり、インド唯一のプロオーケストラ(SOI)を指揮した感想について、ワルシャワ・フィル音楽監督のヤツェク・カスプシックさんに伺ったりしています。
あとは、一時期、インドに毎冬通って、インドのピアノ学習者や先生方のためにピアノのワークショップを行っていた、ピアニストの青柳晋さんにも、現地で教えて感じたことについて伺っています。

ピアノ好きの皆さんに特に注目していただきたいのは、インド人調律師を育成しようとするヤマハさんの奮闘っぷりです。取材中、グチが出るわ出るわ(あ、そんなことバラしちゃまずいのかな)、とにかく大変そうでした。
でも、こうして根気強く続けて行くことで、何か新しい文化の融合が生まれたり、才能の発掘があったりするんでしょうね。
いずれにしても、総じてインド駐在を長くしている日本の人たちは、だんだんちょっとしたダメージ(側から見るとわりと大きめ)に対して鈍感になっていくんだなと思いました(褒めてます)。

そして「kotoba」秋号の巻頭特集は、「危ない写真」。これがすごくおもしろいです。
藤原新也さんが、人間中心主義や撮りたいものへの目線の置き方について話すインタビュー、ロバート・ケネディの棺を乗せた葬送列車からの風景写真や、ピーター・バラカンさんが読み解く、奴隷労働者の写真など。
報道写真の真実と虚構とか、プライベート写真の凶器化についての、写真評論家、島原学さんの文章も、興味深かった。