マルク=アンドレ・アムランさんのお話

先日のピリスさんに続き、考えさせられたインタビュー。
ヤマハ ピアニストラウンジ、マルク=アンドレ・アムランさんの記事がアップされました。

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ピリスさんとアムランさん、二人に共通しているのは、いかに生きるか、ということにまつわる質問になってくると、じーっと言葉を選んで、丁寧に答えてくれること。インタビュー時間30分しかないっていうのに、無言でじぃっと向き合う時間が流れることもしばしば。

たまたま見かけた海外のサイトのインタビューで、アムランさんが、知られざる作品と超絶技巧作品の演奏で鳴らしていた若き日、
「ハロルド・ショーンバーグにスーパー・ヴィルトゥオーゾと評価され、最初はそれをみてすごく興奮し、自分のプロフィールに引用したこともあった。でも今や疫病のようにこの言葉を避けている」
…と話しているのを見まして。

そんな時代を経ての、今回のお話。
アムランさんは時間をかけて、「アーティストとしての自分の文化的な責任の認識」を確かにしていったんでしょうね。最終目的は、世界をより良いものにするということ。そのために自分に何ができるか。自分は何のために生かされているのか。
その答えはきっとこの後も変わっていくのかもしれない。ああ!

ところで、作曲家として、「将来自分の作品を弾く人が私生活を研究するかもしれないことについてどう思うか?」という質問への回答は、予想どおりでおもしろかったです。だいたいみんな、いやだっていう。

それにしてもこのところは、アムランっていうと、若アムランくんのほう(2015年ショパンコンクール2位のシャルル=リシャールくんのほう)を思い浮かべる人が多いみたいですね。

おじさんのアムランさんのほうは、今回が12年ぶりの来日でしたし、時代の流れでしょうかね。インタビューをしたのは、東響とのブラームスの協奏曲のリハーサルの日だったのですが、事務局の方が「オーケストラの若い団員はアムランさんのことをあまり知らなかったみたいですが、リハーサルをやって、こんなすごいピアニストが!!ってびっくりしてましたよー」とのこと。
そうでしょう、そうでしょう。

あと去年ヴァン・クライバーンコンクール中にはじめてお話ししたときに思ったんですけど、アムランさん、いい声なんですよね。見た目のイメージに似合った、あったかいお声の持ち主なのでした。