第14回「編曲の妙」


『北の国から』解禁と言われたものの、やはり『トルコ行進曲』は、しっかり弾けるようになりたい。先週同様、まずは『トルコ行進曲』を練習してから次に移ることにした。

不思議なもので、楽譜を見ないで弾くことに慣れてくると、指が勝手に動くようになる。Mさんが「私は暗譜してからじゃないと弾けない」と言っていたが、確かにその方がしっかり弾いているという気持ちになる。ドレミ先生に言われたとおり、間違えの多い箇所は、楽譜を見て暗譜してから弾くようにしたら、これまでよりもスムーズに弾けるようになった……のは気のせいだろうか?

そして、いよいよ楽しみにしていた『北の国から』。楽譜は冒頭しかないので、そこまでしか弾けないが、弾いていてとても楽しい。すぐそこで、蛍ちゃんが「るーるるる」とキツネを呼ぶ声が聞こえてきそうだ(言い過ぎか?)。何度か練習するうちに、譜面を見ないでも弾けるようになった。これは簡単なのでは?
そこで初めて、思っていたよりも『トルコ行進曲』が難しかったことに気づく。あれに比べたら、『北の国から』なんて軽い軽い。これは予想よりも早く、すべて弾けるようになるかもしれない。そう思ったら嬉しくなって、誰も踏まないので真新しいペダルを使って弾きまくった。それによって、音がかぶって汚く聞こえるなんて関係ない! 気持ちよく弾ければいいのだ!
そうしているうちに、あることを思いつき、翌週のレッスンまで、そのことに夢中になっていた……。

レッスン当日は、またも雨。ドレミ先生は雨女だと言っていたけど、激しい降りだ。
楽譜を見ずに『トルコ行進曲』を弾き始める。
「お、なかなか上達しましたね。何か所か引っかかるところがあるから、そこをちょっとやってみよう」
そう言って、どうしてもつまずいてしまうところの練習の後、僕がいつも弾いていて気になる箇所を伝える。そこは、スタッカート練習から始めて終了。困ったら、スタッカートで弾く練習をすれば上手くいくんだなあ。

「じゃあ、お待ちかねの『北の国から』やりましょう!」
来た! この時を待ってたぜ!
「弾けるようになりました?」
「なりましたよ~。それと……」
「ん?」
「この曲はメロディーを知っているから、今回の楽譜の続きは右手では弾けるんです。だから、ドレミ先生だったら左手の伴奏をどう書くかを予想して、自分なりに考えたんですよ~」
そう。暗譜して冒頭を弾けるようになった夜から、ドレミ先生だったらどうするかな?と自分なりに考えて、左手を合わせていたのだ。一音一音確認しながらなので、時間がかかったが、この作業が無茶苦茶面白かったのだ。
「えっ、ほんと? 聞かせて聞かせて!」
「すごい、つっかえつっかえだけど、そこはご愛嬌で」
いつもとおり言い訳をしつつ、最後まで何とか弾き切る。
「なるほど、そうきましたか(笑)。でも、最初の部分は、私の考えていたのと同じですよ」
そう言って、ドレミ先生が最後まで弾いてくれたが、やっぱり全然違うなあ。
「最後は面白いことやってましたね。どんどん右手と左手が近づいていくという……」
そうなんだよなあ。そこが気になってたし、とても弾きづらかった。
「でも、自分で考えて弾くのは大事ですよ。そこが、クラシックの曲とは違うところね。どうにでも好きなようにアレンジできるから」
ドレミ先生は、左手を明るい調子に変えて、これまでとは一味違う『北の国から』を弾いてくれた。
「じゃあ、今回は、右手を最後まで書きますから、左手は考えてみて」
おっ、久々に宿題らしい宿題だね。じゃあ、これを何枚かコピーして、いくつかのパターンを考えよう。

2月から始めたモニターも、終わりが迫っている。それまでに、何とか完成させなくては!その後も続けるつもりでいるんだけど、レッスン時間の融通が利かないところが、社会人にとってはつらい。せめて週2回くらいでドレミ先生のレッスン日があれば、振替とかできて楽なんだけどなあ。
「週1回、必ずこの時間。振替なし」と決められることで、仕事とのバランスを考えて諦めてしまう社会人も多いような気がする。せっかくやる気があっても、それだったらもったいないなあ。コロムビアさん、ちょっとご検討を。

(つづく)

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◇レポート執筆者◇
今東昌之
めがねがトレードマークの会社員。
小学校3年から中学2年、インターバルを挟んで、高1から高2までピアノを習うも、
現在はさっぱり弾けなくなってしまったという。
40歳を過ぎたある日、再びピアノを始めようと一念発起。さあ、どうなる!

◇通ってみた音楽教室◇
コロムビア音楽教室
2013年にオープンしたばかり。ご存知のレコード会社日本コロムビアが運営する音楽教室。代々木公園駅近く、白寿ホールのある建物のなかで火曜日から土曜日まで開校。初心者から音大受験生まで、演奏家としても活動する講師たちにマン・ツー・マンで習うことができる。ピアノのほか、ヴァイオリン、チェロ、フルートのクラスがある。

ホームページ http://www.columbiamusicschool.jp/